こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ベルファスト71

otello2015-08-14

ベルファスト71 '71

監督 ヤン・ドマンジュ
出演 ジャック・オコンネル/ポール・アンダーソン/リチャード・ドーマー/ショーン・ハリス/デイヴィッド・ウィルモット
ナンバー 191
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

“敵”と教えられた人々に助けられ、“味方”のはずの男たちに命を狙われる。深刻な宗教対立と独立闘争、テロリストを取り締まる警察と軍、双方の陣営に過激派と穏健派が混在し主導権を争っている。蔓延する裏切りと欺瞞、そして知ってしまった衝撃の真実。1971年北アイルランド、映画は紛争地域に派遣された新兵が体験した混沌と死の恐怖を描く。見知らぬ敵地で孤立、武器はなく、容赦ない銃撃を受ける。逃げおおせたと思ったのにいつの間にか敵の勢力範囲に戻っている。現在地も目指す場所もわからず通行人は皆敵に見える。救出を呼ぶ手段もなく、ひとり途方に暮れながら疲れ切った肉体に鞭を打つサバイバルの過程で、主人公の孤独と不安、焦りと痛みがリアルに再現される。

イギリス軍入隊後ベルファストに赴任したゲイリーは、現地警察の治安活動に同行する。だが、カトリック住民の反英運動と遭遇、小銃を盗んだ少年を追ううちに住民に囲まれ部隊からはぐれてしまう。

もちろん事前に複雑に絡み合ったパワーバランスと大まかな実情をレクチャーされてはいる。しかし新米司令官の判断ミスで住民パワーを抑えきれない。しかも群衆に紛れた過激派がいきなり発砲してくる。走らなければ殺される状況でゲイリーは迷路のような住宅地を全力で駆け抜け、難を逃れたところをプロテスタントの少年に保護され親英派のアジトに案内される。何を信じ誰を頼るべきか、とりあえず襲ってこない人に身を任せるしかない。覚えきれないほどの多くの顔が短時間に交差するなか、時限爆弾の誤爆でゲイリーはまたしても街に放り出される。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

重傷を負ったゲイリー、今度はカトリックの父娘が彼に手を差し伸べる。一方でゲイリーを探す過激派の追っ手が迫る。さらにゲイリーを交渉材料にしたい穏健派や秘密を見られた警察も動きだし、それぞれがゲイリーという“ジョーカー”を手に入れんと権謀術数を巡らせる。武力衝突を“必要”とする魑魅魍魎が跋扈するなか、ゲイリーの失望が紛争地域の現実を物語っていた。。。

オススメ度 ★★★

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