こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

カーライル ニューヨークが恋したホテル Always at The Carlyle

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ダイアナ妃とマイケル・ジャクソンスティーブ・ジョブズ。世界に多大な影響をもたらしたスーパーセレブが同じかごで顔を合わせた時があったとエレベーター係は語る。3人とももうこの世を去り確かめる術はない。それでも、そういう出来事があっても不自然ではないと納得させる空気が充満している。カメラはマンハッタン中心部に立つ超高級ホテルの魅力を紐解いていく。ジョン・F・ケネディの来訪を覚えている従業員がいる。全盛期のジャック・ニコルソンポール・ニューマンの記憶をよみがえらせる従業員もいる。つい最近も英国王子夫妻が滞在した。何が彼らをここに引き寄せるのか。なぜ従業員たちはここでずっと働き続けたいと思うのか。伝統と格式を守るためには、従業員と客の信頼関係が最も大切とこの作品は訴える。

NYのカーライルホテル。尖塔のような細長い建物は、建設された当時は周囲を睥睨しセントラルパークを一望できた。今ではその地味な外観がむしろ年季の入った風合いを帯びている。

ジョージ・クルーニージェフ・ゴールドブラムウェス・アンダーソンアンジェリカ・ヒューストンは、カーライルに宿泊するとはどういうことなのかを滔々と話す。それは、自分がカーライルを選んだのではなく、カーライルに自分が選ばれた名誉に対する誇り。一泊4000~1万ドル払える経済力だけではない、客がどれほど社会的貢献をしてきたも問われているのだろう。ただ、“カーライルに泊ると自慢になる” とコメントする男がいたが、一方でそのあたりにスノッブさも感じてしまうのだ。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

客室清掃係やコンシェルジュ、予約係やウエイターなど直接客と接触する従業員は、秘密といいつつ “時効” になった有名人のエピソードは嬉々として口にする。スターと言葉を交わしたら誰かに話したくて仕方ない、それなりに従業員は訓練されているはずだが、やっぱり彼らも普通の人間だった。映像からこのホテルの品格はよく理解できたが、あまりにも敷居が高く泊まりたいと思えなかった。。。

監督  マシュー・ミーレー
出演  ジョージ・クルーニー/ウェス・アンダーソン/ソフィア・コッポラ/トミー・リー・ジョーンズ/ジェフ・ゴールドブラム/ナオミ・キャンベル/アンジェリカ・ヒューストン/レニー・クラビッツ
ナンバー  192
オススメ度  ★★*


↓公式サイト↓
http://thecarlyle-movie.com/