こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

HOT SUMMER NIGHTS/ホット・サマー・ナイツ

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ネクラで冴えない青春を送ってきたとき、ふとしたきっかけで言葉を交わした町一番の美女、そして不良。その出会いは彼の人生を劇的に変えていく。物語は、ひとりで避暑地にやってきた青年のひと夏の出来事を描く。出だしは順調だった。自分にこんな度胸と商才があるなんて気づかなかった。ところが少しずつ昂揚する気持ちを抑えきれなくなり、忠告も掟も破ってしまう。初恋というには切なすぎる。冒険と呼ぶにはヤバすぎる。それでも一度目覚めた衝動は暴走し、止められない。パーティで誰とも友人になれなかった主人公がビビりつつもアイデアを出し、やがて本物のギャングとも大胆な交渉をするようになる。それは女の子が相手でも同じ。成功体験はなにごとにも代えがたい自信になり若者を成長させるとこの作品は訴える。

マリファナ売人のハンターとつるむようになったダニエルは、彼を手伝ううちに商売の拡大を提案する。その後、地元の卸元から仕入れた大量のマリファナを売りさばき大金を手にするようになる。

同時に町の少年たちの憧れの的・マッケイラとも付き合いだしたダニエル。小さなきっかけに胸を躍らせ、おどおどしながら彼女に話しかけるあたり、まだまだ恋愛初心者といった感じ。しかし彼女はハンターの妹、近づいたら殺すと警告される。マッケイラもダニエルがハンターの舎弟になっていると知らない。初めて心を許した人たちなのに、本当のことを言い出せなくなったダニエル。さらにドラッグディーラーとしても禁じ手に走ってしまう。いくつもの秘密を抱え込みながらも後戻りできないところに来てしまったダニエルの、苦悩と焦燥がリアルかつ繊細に描写される。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

大型ハリケーンが町を襲った夜、取り返しのつかない事態に発展する。もう逃げるしかない。でもマッケイラをあきらめたくない。暴風雨の中でクルマを激走させるダニエルは切望と後悔に押しつぶされそうになる。すべては己が撒いた種、若さゆえの軽率さと全能感と絶望が迸るような感性で再現されていた。

監督  イライジャ・バイナム
出演  ティモシー・シャラメ/マイカ・モンロー/アレックス・ロー/ウィリアム・フィクナー
ナンバー  198
オススメ度  ★★★*


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http://hot-summer-nights.jp/