こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

感染家族

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地下から這い出してきたのは優しきゾンビ。子供に石を投げられ犬に追いかけられトイレに隠れ人間に捕まりキャベツを食らう。物語はゾンビを利用して一儲け企む一家のサバイバルを描く。最初にゾンビと接触した老人はなぜか肌も髪もつやつやになり、秘密を友人に話してしまう。噂は一気に広まり、村の年寄りたちは我も我もと老人の家に押しかける。商機と見た老人とその息子たちはカネをとってゾンビ若返り療法を始める。根性なしの長男、利にさとい次男、ゾンビを飼いならす妹、カネにうるさい長男の嫁etc. みな相手がゾンビであることを認識している。でも、目の前に転がる金儲けの種は手放さない。そんな強欲家族の個性豊かな面々が、協力しながらも他の家族を出し抜こうとする過程がコミカルに再現される。彼らの赤裸々な本性がいかにも人間的だ。

倉庫に迷い込んだゾンビにチョンビと名付け、村人の腕を噛ませてカネをとる商売を始めたマンドク一家。大儲けをして家業のガソリンスタンドを再開させるが、ウイルスの潜伏期間が終わる。

その間、マンドクがカネを持ち逃げしたり、次男がチョンビを研究所に売ろうとしたり、妹とチョンビの間に心が通ったりたりする。どうやらチョンビには記憶や理性がわずかに残っているらしい。嫁に歯を抜かれたチョンビが必死でキャベツを噛もうとするシーンがおかしくも哀しかった。一方でチョンビが従順と知ると入れ歯をプレゼントしたりする。決して根っからの悪人ではないこの一家の小市民的な人情もユニークな味わいを醸し出していた。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

結婚式が行われている時、次々とゾンビウイルスが発症、町はパニックになる。人肉を求めて郊外のガソリンスタンドまで押し寄せてくるゾンビの群れ。追い詰められ逃げ惑ううちに嫁が出産したりする。そこに戻ってきたチョンビ。それぞれが自分の都合しか考えていないようで、やっぱり非常事態には力を合わせる家族たち。チョンビの目には利己と愛のはざまで揺れ動く人間たちの姿はどう映ったのだろうか。。。

監督  イ・ミンジェ
出演  キム・ナムギル/チョン・ジェヨン/オム・ジウォン/パク・イナン/チョン・ガラム/イ・スギュン
ナンバー  202
オススメ度  ★★*


↓公式サイト↓
http://www.finefilms.co.jp/theoddfamily/