こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ターミネーター:ニュー・フェイト

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命がけの戦いで暗黒の未来を変えたはずだった。なのに、代わりに待っていたのは同じような運命。やっぱり人工知能の反乱で人間が狩られている。物語は、タイムリープしてきた殺人マシーンと、将来の指導者を守ろうとする戦士たちの死闘を描く。打撃銃撃などの物理的な攻撃では与えたダメージはすぐに回復する。情報ネットワークをハッキングして現在地を追跡してくる。金属骨格と流体金属部分を自在に分離・融合し、鋭利な剣先に模した手で襲い掛かってくる。クルマ、列車、ヘリコプター、輸送機と乗り替えてもどこまでも追いかけてくる。主人公たちが逃げながら反撃のチャンスをうかがう既視感溢れる展開ながら、強化兵士の圧倒的な戦闘能力と意外な弱点が彼女の人間らしさを強調し、希望なき未来を象徴していた。

自動車工場で働くダニーは突然ターミネーター・REV9に襲撃されるが、女戦士・グレースに保護され逃走する。2人はハイウェイで追い詰められるが、ターミネーターハンターとなったサラが現れ2人を救う。

未来の脅威を取り除いたと信じているサラだったが、結局人工知能が普及すれば人類滅亡への道を突き進むと悟ったサラ。それでも目の前の危機は見逃せない。ダニーを生かしREV9を倒せば少しは先送りできると自分を励まし、謎の協力者のもとに向かう。このあたり、核戦争こそ回避できたものの、「T2」で予言された未来は高確率で現実になりつつある。ジェームズ・キャメロンが予見した未来像があまりにもリアルで恐ろしい一方で、キャメロンの先見の鋭さには驚きを隠しえない。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

サラの息子の仇・T800ことカールの隠れ家に一行はたどり着く。そこでサラは、殺人マシーンだったT800にも心が芽生えていると知ってわが目を疑う。そのシーンも「T2」のラストを受け継いでいてなかなか味わい深かった。アクションシーンはCG技術の発達で非常に洗練されてはいるものの、1作目の「金属骨格のカクカクした動き」や、2作目の「流体金属の処理が甘いCG」が懐かしく感じるのも事実だ。

監督  ティム・ミラー
出演  アーノルド・シュワルツェネッガー/リンダ・ハミルトン/マッケンジー・デーヴィス/ナタリア・レイエス/ガブリエル・ルナ/ディエゴ・ボネータ
ナンバー  267
オススメ度  ★★★


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