こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

エンド・オブ・ステイツ

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鳥の群れのように散開した数十機のドローンが体当たり攻撃を仕掛けてくる。顔認証機能でターゲットを見定めピンポイントで自爆、警備員たちはなす術もなく爆殺されていく。最新のAI技術を駆使した大統領襲撃シーンは近未来の戦場を見ているようだった。物語は、テロリストの濡れ衣を着せられた警護官が疑いを晴らすために奮闘する姿を描く。外交方針の転換で軍事予算が削減され他国の紛争に介入できなくなった米国、仕事を失った傭兵たちは新たな戦争を求めている。そして彼らのバックにいるのは軍需産業軍需産業に支えられた巨大な権力。冷戦終結後も、平和より己の利益を優先させる悪党たちがはびこっている。人の命を効率的に奪う研究をしている輩がいる。そんな現実がリアルに再現されていた。

重傷を負って病院で目覚めたマイクは、FBIに大統領暗殺未遂の容疑で逮捕される。移送中に護送車が襲撃されマイクは武装集団に拉致されるが自力で脱出、死体の中に見知った顔を見つける。

FBIと武装集団に追われるマイクは人里離れた山中に隠棲する父を訪ねる。父はハイテクとは無縁の生活で電子機器に追跡される心配はない。それでも武装集団に突き止められる。ベトナムで戦った元特殊部隊隊員だった父は、非常にアナログな戦法を用いて武装集団を殲滅する。あれほど派手な爆破をすれば誰かに察知されるはずだが、父もマイクもお構いなし。その間、武装集団の目的と黒幕の正体に気づいたマイクは、大統領が入院中の病院に戻り無実を訴える。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

その後も病院を舞台にした銃撃戦が繰り広げられるが、前半のドローン兵器のような新鮮な驚きはなく、ただ弾薬爆薬に頼るだけの大味な展開。逃亡中に公衆電話で長話をしてFBIに逆探知されたり、マイクの妻子の危機をなぜか父が救ったりと脚本の詰めも甘い。そもそも高性能な殺人ドローンを持っているのなら、傭兵が拳銃や小銃を抱えてマイクたちを仕留めに行かなくてもいいのではないだろうか。後日談も蛇足、もっと緻密な構成にしてほしかった。

監督  リック・ローマン・ウォー
出演  ジェラルド・バトラー/モーガン・フリーマン/ジェイダ・ピンケット・スミス/ニック・ノルティ/ランス・レディック/ティム・ブレイク・ネルソン/ダニー・ヒューストン
ナンバー  273
オススメ度  ★★


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