こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋

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初恋の女性は今や世界を動かすほどのスーパーセレブ。でも、自分を覚えていてくれた。物語は、失業中の元新聞記者が幼馴染だった政治家のブレーンに加わり、彼女と再び恋に落ちる姿を描く。ブレずに理想を追求する姿勢は昔と変わっていない。彼女の背中を見て学んだ生き方は彼の中で今も色褪せていない。そんなふたりはいつしか己に似た相手に惹かれ、己にないものを補う間になっていく。だが、政治の荒波にもまれてきた彼女は対話・説得して着地点を見つける術を身につけているのに、情熱が先走る彼は不器用なまでに正義にこだわり損ばかりしている。それでも行動を共にするうちに記憶に触れ、お互いがなくてはならない存在に思えてくる。美人な上に優秀すぎる女と冴えない男。身分が違いすぎるからこそのすれ違いがコミカルに再現されていた。

突撃ルポが得意のフレッドはパーティで国務長官のシャーロットと再会、スピーチライターに抜擢される。環境問題で主要各国を巡る旅に同行するうちに、ふたりは親密さを増していく。

時に辛辣に批判し時にウイットに富んだジョークを交えたフレッドの原稿は、シャーロットの琴線に触れ有権者の評判も上々。敵対国に対して飴と鞭を使い分けるシャーロットの交渉術は大人の品格を漂わせる。一方のフレッドは正しいと信じたことは一歩も引かず妥協を嫌うなど、子供じみたところがある。シャーロットはフレッドに信念を曲げない純粋さを見出し、フレッドはシャーロットから我を抑えwin-win関係の重要さを学ぶ。双方が影響を受け変わっていく過程は、同じ夢を追う男女には時間と共にクラスを越えた信頼の絆が生まれると教えてくれる。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

ふたりはベッドインする仲になるが、大統領選出馬を控えたシャーロットはキャリアとフレッドの二者択一を求められる。女性の社会進出でこんなシチュエーションはもう珍しくなくなってきているのだろう。ただ、フレッドの幼稚なメンタリティには少し鼻白んだ。あと、大統領の夫を “First Mister” と呼ぶのはポピュラーなのか?

監督  ジョナサン・レビン
出演  シャーリーズ・セロン/セス・ローゲン/オシェア・ジャクソン・Jr./アンディ・サーキス/ジューン・ダイアン・ラファエル/ボブ・オデンカーク/アレクサンダー・スカルスガルド/ラビ・パテル
ナンバー  1
オススメ度  ★★*


↓公式サイト↓
http://longshot-movie.jp/