格闘技に優れ銃器の扱いも洗練されハッキングもお手のもの、並の男では歯が立たない美しきエンジェルたち。物語は、非政府系工作員集団の女子メンバーが巨大なパワーをもつ画期的な発明品を巡って正体不明の組織と戦う過程を描く。エネルギー問題を根本的に解決するという機器は未完成、だが武器商人の手に渡れば大量殺人兵器にもなりうる。横流しして一儲け企む者、奪い返そうと追いかける者、横取りして漁夫の利を得ようとする者。襲い掛かる相手を排除したと思ったらまた別の魔手が伸びてくる。誰が味方で誰が敵なのか、真実に迫るほどに謎が深まる構成が非常にミステリアスだ。本当に信じられるのは命がけの修羅場を一緒に潜り抜けてきた仲間だけ、女同士の固い友情がフェミニズムの勝利を高らかに謳いあげる。
超電磁波装置・カリストを開発したエレナは不具合に気づくが却下され、ボスレーに相談。殺し屋に狙われたところをサビーナとジェーンに救われ、彼女たちと行動を共にする。
エレナの上司がカリストの転売を目論み闇組織に接触する。それを追跡するサビーナ達が防護機能付きの最新ファッションのみならず電子機器・秘密兵器といったスパイ映画ならではの小道具を身につけるシーンが楽しい。それらのアイテムを自在に操るサビーナとジェーンのしなやかでスピーディな動きも、既存のスパイアクションにはない流麗さで目が離せない。さらに3人の前にちらつく欺瞞と裏切りの影。陰謀や暴力の世界に縁がなかったエレナが、危機また危機を乗り越えていくうちにタフになっていく姿が頼もしい。
◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆
意外な人物の登場で混沌を極めるカリスト争奪戦。それでもサビーナ、ジェーン、エレナの結束は固く、何度となく迫り来るピンチを切り抜けていく。欲望に駆られ悪だくみをするのも、実行に移すのも男。女は彼らの暴走を止めるために戦わなければならない。欧米文化の基準に適ったイケメンかつ正義を貫くヘテロ男はひとりも出てこない、最後まで女性優位を貫く作風はある意味心地よかった。
監督 エリザベス・バンクス
出演 クリステン・スチュワート/ナオミ・スコット/エラ・バリンスカ/エリザベス・バンクス/ジャイモン・フンスー/サム・クラフリン/ノア・センティネオ/パトリック・スチュワート
ナンバー 17
オススメ度 ★★★*