こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

モネ・ゲーム

otello2013-04-05

モネ・ゲーム GAMBIT

監督 マイケル・ホフマン
出演 コリン・ファース/キャメロン・ディアス/アラン・リックマン/スタンリー・トゥッチ
ナンバー 78
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

軽妙なタッチのアニメのオープニングは、細かいことを理詰めに考えずにこの作品の世界観に浸るべしとアドバイスするかのよう。はたして、鑑定士が田舎娘を仲間に引き入れて、大富豪に名画のニセ物を売りつけるという計画はトントン拍子に進捗、見事に成功を収める。映画はそんな空想物語をテンポよく映像にし、コン・ゲームの楽しみを再現。何事も遠まわしに言う英国紳士とストレートに発言し行動に移す米国人、同じ言葉を使うのにまったく価値観が異なるふたりのすれ違いが織りなすコミカルな応酬に脇腹をくすぐられる。

ロンドンのさえない美術品鑑定士・ハリーは、親友の贋作画家に行方不明のモネの絵を描かせて、名画収集を趣味にするメディア王・ライオネルに高値で買わせようとする。そして絵のバックグラウンドに説得力を持たせるために、テキサスのカウガール・PJをスカウトに行く。

妄想の中ではやり手の詐欺師なのに、現実はPJに声をかけるのにも一苦労するくらい要領が悪いハリー。何とかPJをカネで釣ったが、ライオネルは話に食いつかず、ロンドンに呼んだPJもハリーに耳を貸さなくなる。むしろPJの率直さに魅かれたライオネルがハリー抜きで交渉を進め始める。たちまち資金難に陥って焦ったハリーが、腹いせにホテルから由緒ある壺を盗もうとしてズボンが破けたり老婦人の部屋に忍び込んだりするが、そこでもハリーはあくまで苦虫をかみつぶしたような顔。その少し控えめなユーモアが銃やカーチェイスといった派手なアクションに頼らない上品な作風にマッチしていた。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

すっかりプランが狂ってしまったハリーは起死回生の一発逆転を狙ってライオネルが催すパーティに潜り込む。PJはライオネルのパートナーとして参加、さらにライバルの鑑定士もやってきて、ハリーはいよいよ追い詰められていく。そのあたりの急展開は、何が起きているのかよくわからないほどの鮮やかさ。結局、日本人が手にしたのは「夜明け」のほうだったのか? あまりの手際の良さに狐につままれた気分になった。

オススメ度 ★★*

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