ポーラー・エクスプレス THE POLAR EXPRESS
ポイント ★★
DATE 04/11/30
THEATER 池袋東急
監督 ロバート・ゼメキス
ナンバー 140
出演
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています
クリスマスにはサンタがやってきてプレゼントを置いていってくれる、なんてことを真に受けるのは何歳ぐらいまでだろうか。「一番大切なことは、信じること」と真顔で言われても、大人になった身にはやはり面映い。いまどきクリスマスとサンタクロース、そしてそれを信じる子供を主人公にする映画を大まじめで作る意図がわからない。まあ、この作品は俳優の動きをキャプチャーしてCGに描くという新技術の発表会ととらえればそれなりに意義はあるのだろう。
クリスマスイブの夜、サンタを信じられなくなってきた少年の元にポーラー・エクスプレスというサンタの街に行く汽車がやってくる。それに乗り込んだ少年はすでに乗客となっている子供たちとともにサンタのいる北極の街を目指す。少年と子供たちはサンタと妖精が住むその街で、本当に大切なもの、自分に必要な人間としての資質を学んでいく。
サンタを信じなくなる、それは子供時代の終わりを告げるものだ。しかし、映画に出てくる車掌やサンタといった大人は主人公の少年にサンタを信じさせようとする。どうして少年の成長を阻害するようなことをするのだろう。サンタのプレゼントは本当は両親が用意したものだということを知ることで、両親の気持ちを知り家族の愛を確かめ合うというのならわかる。だが、「信じることが大切」といわれても、他人の良心を信じることとサンタという迷信を信じることとは根本的にちがうはずだ。
新技術を駆使したCGはリアルでディテールにも凝っている。しかし、チケットが風に舞った挙句また汽車に戻ってくるシーンなど、そのディテールの凝り方が逆に不自然。CGなら何でも表現できるので、もはやどんな映像を見ても驚かない。ここまでリアルにやるのなら、人間の俳優を使ったほうがよほど血の通った映像になったと思う。クリスマスがテーマなのに、クリスマスまで上映するのは興行的につらいだろう。