こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

僕の彼女を紹介します

otello2004-12-15

僕の彼女を紹介します

ポイント ★★*
DATE 04/12/11
THEATER 109シネマズ木場
監督 クァク・ジェヨン
ナンバー 146
出演 チョン・ジヒョン/チャン・ヒョク/キム・テウ/チャン・ホビン
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


「痩せろ!」 思わずスクリーンのチョン・ジヒョンにそう叫びそうになった。一応彼女は韓国のトップクラスのモデル・女優のはず。なのにこの作品のチョン、目元はむくみアゴはたるんでいる。客は自分を見に来ているという自覚が彼女にあれば、もう少し自己管理を徹底して美しさを保つべきだろう。髪をアップにまとめて警官の制服に身を包んでいるときはまだりりしいのだが、長い髪をおろして私服を着ているときの顔は緩みきっている。しかも残酷なほどアップのシーンが多く、そのたびに彼女の二重アゴが気になって映画に集中できなかった。


正義感に燃えているが思い込みの激しい婦人警官・ギョンジンが、高校教師のミョンウを泥棒と間違って逮捕する。強引なギョンジンに翻弄されるミョンウだったが、いつしか二人は恋に落ち、オフロード車で旅行にでる。そしてその帰り車が川に落ち、ミョンウは生死の境をさまよう。


きちんとしたストーリーラインを見せるより、散文的で取りとめのないエピソードの積み重ねることで恋人たちの世界=演出家・クァク・ジェヨン的世界に引き込もうとする。暴力的に突っ走るギョンジンがミョンウを振り回す姿はコミカルな一方で、制服を脱いだ彼女は一人の男を愛する情の深い女。二重人格的なヒロインを見せることで恋に落ちたときめきと愛することの喜びを描はずなのだが、観客の期待を裏切るために無理やりひねりを加えたような展開にはあざとさが感じられる。


猟奇的な彼女」同様、型破りなヒロインが女らしい一面を見せ始めたとたんに物語りは勢いを失う。その女らしさも恋人の優しさに触れていくうちに得たものではなく、もともとヒロインが持っていた性質。愛を知らない女が愛されることで人間的に成長する過程を描写してこそ別れの切なさが心にしみるはずなのだが、最初からそんなありきたりな素材での勝負は放棄しているかのようだ。肩の力を抜いた変化球を投げるのもいいが、それがストライクゾーンから遠く離れてしまっていては肩透かしを食らった印象しか残らない。


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