こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

マイ・リトル・ブライド

otello2005-06-24

マイ・リトル・ブライド

ポイント ★★★
DATE 05/6/21
THEATER イメージフォーラム
監督 キム・ホジュン
ナンバー 75
出演 ムン・グニョン/キム・レウォン
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


あまりにもオチがミエミエのギャグに最初は違和感を覚える。しかし、それが繰り返されるうちにベテラン芸人の上方漫才を見ているような居心地のよさに変わってくる。祖父同士が決めた結婚、女子高生と教育実習教員の秘められた同棲生活。日本のテレビドラマのアイデアをそのまんまパクったような内容にむしろ安心すら感じてしまう。笑顔だけでなく、怒ったり困ったりした時のちょっとした表情の作り方がとてもキュートなヒロインの魅力がこの作品に輝きを与えている。


高1のボウンは祖父同士の約束で大学生・サンミンと結婚式を挙げる。お互いに愛を感じていない2人は新婚旅行に失敗、同居を始めるがまったく夫婦としての自覚がない。やがてボウンは同じ高校の野球部員と付き合い始める一方、サンミンは美術の教育実習でボウンの高校に赴任、独身女教師から猛烈アタックを受ける。


女教師に痴漢と間違えられたり、野球の応援に行ったらテレビに映ったり、カーテンにくるまったままベランダから落ちたりと、誇張されたドタバタ劇がこれでもかといわんばかりに押し寄せ予想通りの展開を見せる。映画の作りこみ自体がとても安っぽいのだが、作り手側が本当に楽しみながら映画を作っていることが見ている側にきちんと伝わってくる。また、主役の二人や女教師のくどいまでの演技もここでは相乗効果を生み、にぎやかで面白い独特の世界を作り上げている。


決して洗練されておらず泥臭い。これが韓国風のコメディセンスなのだろう。日本や欧米がかなり昔に卒業したその感覚はむしろ懐かしさすら覚える。そして最後もお約束通りのハッピーエンド。笑いの仲に風刺や毒を持たせようなどという志ははじめからなく、最初から観客を笑わせ、見終わったあと幸せな気分にさせる。そのためにアイデアを絞りベタなショートコントを繰り返す。そこから若い映画人のエネルギーがすがすがしく昇華されている。


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