こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

セブンソード

otello2005-10-10

セブンソード 七剣


ポイント ★*
DATE 05/10/6
THEATER 新宿東急
監督 ツイ・ハーク
ナンバー 124
出演 レオン・ライ/ドニー・イェン/ウー・ユェンイン/スン・ホンレイ
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


岩をも切り裂く剛剣と変幻自在の秘剣が入り乱れ、息もつかせぬ剣劇アクションの連続がスクリーンの向こう側では繰り広げられている。しかし、対象に寄り過ぎたカメラとライティングが未熟なせいで、俳優たちがどのような動きをしているのかほとんどわからない。臨場感を出そうとしているのはわかるが、露出不足の画面は揺れるだけで現実感をともなわない。結果として、せっかく7本の剣と7人の剣客というテーマを持ちながらその特色が生かしきれず、剣に定められた持ち主の運命を暗示させるまでにはいたっていない。


中世中国、清王朝が出した禁武令のもと、政府の制圧軍が武術家だけでなく住民を虐殺していた。制圧軍がある村に迫った時、明王朝の残党2人が立ち上がり、伝説の刀匠のもとを訪れ助力を請う。刀匠は4人の弟子と共に戦う決意をし、7本の名刀と共に制圧軍を撃退する。しかし、制圧軍の追撃を逃れるために移動している途中、村人の中に裏切り者がいることが発覚する。


刀匠とその下で修行を積んでいた5人はともかく、彼らに助けを求めにいった男女がどうしてあれほど剣を使えるのだろう。元々は村の農民、彼らに立派な刀は使いこなせまい。もちろん刀自体が秘めたパワーを持ち、持ち主の精神に往呼してパワーを発揮するという設定なのだろう。それならば刀自身が何らかの意思を持つような描き方をすべきだろう。元々武侠モノにリアリティなど求めていないのだから、ファンタジーの要素を盛り込んでも不自然ではないはずだ。


やはり登場人物が多岐にわたりすぎたのが失敗の原因。また7本の剣にもいわくをつけなければならず、いちいち覚えられない。高麗人を登場させて自由を勝ち取る戦いであることを強調しようと試みているが、それも消化不良。結局、アクションシーンは表現力不足、物語も構成が雑という物足りないできになってしまった。


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