こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ハリー・ポッターと炎のゴブレット

otello2005-11-25

ハリー・ポッターと炎のゴブレット
HARRY POTTER AND THE GOBLET OF FIRE


ポイント ★★★★
DATE 05/11/19
THEATER ワーナーマイカル新百合ヶ丘
監督 マイク・ニューウェル
ナンバー 143
出演 マイケル・ガンボン/ブレンダン・グリーソン/レイフ・ファインズ/ミランダ・リチャードソン
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


何度も命を狙われ、危うく命を失いかけた経験をもつハリーにはもはや子供の面影はない。映画全体を覆う暗くてウエットなムードがヴォルデモートの復活を予言し、彼を倒すまでハリーの安寧はやってこないことを告げる。そして原作同様ハリーの成長とともに映画も対象年齢を上げているため、スピードやスリルだけでなく、邪悪すらその姿をより具象化し視覚的な効果をあげている。さらに音楽も「ヘドウィッグのテーマ」以外は刷新、ハリーにとっても観客にとっても少年時代は終わったという強烈なメッセージだ。


魔法学校3校対抗戦の代表選手に例外的に選ばれたハリーは、他の3人の選手とともに3つの課題に立ち向かう。2つ目までは無事クリアするが、最後の課題で大ピンチ。ハリーの対抗戦出場自体がヴォルデモートの陰謀だったのだ。


魔法の世界を最高レベルのVFXで再現し、原作の持つイメージを完璧に映像化している。色香を振りまく女子校と力強さを強調する男子校の入場シーンは印象的で、それ以上にハリーとロン、ハーマイオニーらの人間関係、特にダンスパーティの駆け引きに時間を割いている。ロンに誘ってもらいたいのに無視されるハーマイオニー、他校の代表に彼女が誘われると機嫌が悪くなるロン、目当ての女子をライバルに取られて落ち込むハリーなど、ティーンエイジャーにとっての最大の関心事「恋愛」を外さずにきちんと描いているところがほほえましい。でも、ハリーほどの有名人なら女の子に不自由しないと思うのだが・・・。


そして、3校対抗戦はめまぐるしく展開するノンストップアクション。ここでもハリーは自分だけが知った情報を他の選手に教えたり、他校の選手を助けようとしたりして、年上の競争相手に対しても大人の配慮を見せる。このあたり、命がけの修羅場をくぐってきた経験の差をハリーが示すことで人間的な成長もまた描きこんでいる。緩急を交えた編集も素晴らしく、2時間半を超える上映時間があっという間に過ぎてしまった。


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