こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ザスーラ 

otello2005-12-14

ザスーラ ZATHURA

ポイント ★★*
DATE 05/12/11
THEATER 109シネマズ港北
監督
ナンバー 153
出演
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


タイトルになっているボードゲーム同様、扱っているテーマも古臭い。もちろんこの映画が対象としている年齢層には、愛や思いやりといった人間としての基本的なことを教えるためのいい教材にはなる。しかし、「チョコレート工場」のような屈折した毒がないストレートすぎるメッセージは、大人が観賞するには物足りない。少しだけでいいから厳しい現実を見せ、子供にも人生のつらさを味あわせたほうがより教育的だろう。意外な展開もなく予想通りの結末。所詮ボードゲームなどこの程度なのかと思わせるできばえだ。


ウォルターとダニーはいつもけんかばかりしている仲の悪い兄弟。ある日、ダニーが家の地下室から古びたボードゲームを見つけてくる。ザスーラというそのゲームのボタンを押すと家全体が宇宙空間に飛び、ゲーム板から吐き出されたカードに書いてあることが現実となって兄弟に襲い掛かる。


異次元に迷い込んだ子供が、戸惑いながらも知恵と勇気を身に付け成長するというありふれた物語は、ディテールにどれだけこだわりを見せるかが命だ。だが、ここで描かれるロボットやエイリアンなどにオリジナリティは感じられない。壮大な宇宙にきらめく星や惑星も、息を呑むような美しさとは程遠い。どこかで見たことがあるような表現ばかりで、たびたびデジャヴに襲われてしまう。


物語はお約束どおり進行し、お約束どおり終息に向かう。もちろん危機一髪も何度かありハラハラさせてくれる。兄弟が仲良くすることの大切さも教えてくれる。それでも、どちらかがゴールに到着すれば終わり、という結末は工夫がなさ過ぎる。負けたほうに何のペナルティもないし、途中参加した兄弟の異母姉も変わらない。勝っても負けても兄弟がお互いに尊敬できるような関係になるというあまりにもイージーなウィンウィンシチュエーションでは、いまどきの子供でも物足りなく感じるのではないだろうか。


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