ナイト・オブ・ザ・スカイ LES CHEVALIERS DU CIEL
ポイント ★★
DATE 06/1/23
THEATER UIP
監督 ジェラール・ピレス
ナンバー 12
出演 ブノワ・マジメル/クロヴィス・コルニアック/ジェラルディン・ペラス/アリス・タグリオーニ
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています
科学の粋を集めたジェット戦闘機が超音速で青空を切り裂く姿は、その轟音をのぞけば優美で艶かしい。ただ、スピードばかりを強調する映像のために大空を自由に羽ばたくイメージはなく、ずっと見ていると息苦しくなる。そして最新戦闘機をめぐって繰り広げられる人間たちのドラマも直線的で広がりはなく、見せ場に乏しいまま終わってしまった。もう少しサスペンスを盛り上げる演出がないと、いまどきジェット機を飛ばすだけでは観客を満足させることはできないだろう。
仏空軍の腕利きパイロット・マルシェリとヴァロワは領空侵犯の戦闘機を撃墜する。正当防衛は認められず、二人はクビになる。しかし、米軍との受注競争に参加するため再び戦闘機の操縦桿を握り、危険なレースに挑む。そこには国際的陰謀が待ち構えていた。
フランス本土を攻撃しようとするテロリストグループが暗躍するが、その目的や方法、手順などの設定にすごく無理がある。仏政府・軍内部に裏切り者がいるということは理解できるのだが、本当の黒幕は誰で、どういう実行部隊がいるのかが最後までよくわからない。ミステリーの定石として、バラバラのピースを組み立ててパズルを完成させるという手順を踏んでいるならまだしも、いきなり話が飛ぶ。特に米軍から派遣されたエステルという女性パイロットはどういうポジションなのか。テロ組織から送り込まれた細胞であることはわかるのだが、結局ミッションに失敗したのに無事逃げて責任も取らない。
そもそも、冒頭の航空ショーで奪った戦闘機をテロリスト側はどうするつもりだったのだろうか。のこのこ領空侵犯してもつかまるか撃墜されるか最初からわかりきったことだろう。原作のコミックを映画化したということだが、原作を読んでいないとストーリーラインがよく理解できないのではないだろうか。あまりどんでん返しにこだわらず、最初から善悪のキャラ分けをしておいたほうがよかったはずだ。