こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

イーオン・フラックス

otello2006-03-15

イーオン・フラックス AEON FLUX

ポイント ★★
DATE 06/3/11
THEATER ワーナーマイカルつきみ野
監督 カリン・クサマ
ナンバー 37
出演 シャーリーズ・セロン/マートン・ソーカス/ジョニー・リー・ミラー/フランシス・マクドーマンド
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


シャーリーズ・セロンが鍛え上げた肉体を駆使する女戦士を演じているのだが、そのアクションは陳腐で新鮮味はない。特に格闘シーンは細かいカットをつなぐことで格闘技のトレーニングを積んでいないことを隠そうとする安易な発想に陥っている。主人公を演じるのならばせめて「マトリックス」のトリニティぐらいの力強さとしなやかな脚さばきを見せてくれないと、欲求不満は高まるばかり。髪を黒く染めるくらいでは役になりきっているとはとてもいえまい。


ウイルスの蔓延で地球上の99%の人間が死に、残された人類はグッドチャイルドという科学者のワクチンで生き延びる。そして400年後、グッドチャイルド一族統治の下で人類は平和な生活を送っていたが、不可解な失踪事件が相次いいで反政府組織が活動を活発化、イーオンに政府指導者・トレバーを暗殺せよとの指令が下る。


反政府活動グループ・モニカンの組織がよくわからない。彼らが活動するのは監視のない自由な世界を求めてなのだろう。もともと、政府=グッドチャイルド家に救われた人類の子孫なのだから、自由がほしいのならば都市国家を出て行けばいいだけの話。見ている限りは戦争も疫病も貧困もない理想郷のような社会なのだ。もちろん政府側にも問題はあるのだが、モニカン指導者・ハンドラーの発想はテロリストのそれとほとんど変わらない。


結局、トレバー暗殺にしくじったイーオンも弟に裏切られたトレバーも、自分の組織からも敵対組織からも追われる身になり、二人は協力関係になる。その過程で二人はクローンの子孫で、初代は恋人同士だったことが判明する。数世代も前の記憶を遺伝子が受け継いだいるという安直な設定だ。足に手を移植した女戦士もその特徴を生かしているとはいいがたいし。要するにディテールを構築することには目をつぶり、舞台を未来に設定することで子供だましのおとぎ話を作ったということだ。


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