こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

連理の枝

otello2006-04-19

連理の枝

ポイント ★*
DATE 06/3/10
THEATER 朝日ホール
監督 キム・ソンジュン
ナンバー 36
出演 チェ・ジウ/チョ・ハンソン/チェ・ソグク/ソ・ヨンヒ
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


運命的な出会いをした男と女が愛を深めるうちに、残された命はわずかだということを知る。そんな、手垢のついたような設定のラブストーリーをコメディタッチで描いてしまったために、まったくピントのずれた作品になってしまった。別れの悲しさを際立たせるためのコミカルな演出ならよいが、いまどきこんなもんで笑うやつはおらんやろ、というようなレベルの低さ。韓国映画で、コミカルだけど哀しいラブストーリーはクァク・ジェヨンだけでいい。


IT企業の青年社長・ミンスはプレイボーイとして鳴らしていたが、ある日ヘウォンという女性と知り合う。しかも検査入院した病院で廊下を挟んだ向かい側の病室にヘウォンが入院していた。二人は急速に接近し愛し合うようになるが、ヘウォンは難病で余命いくばくもない運命だった。


このふたりがデートするエピソードはとても大人の男女とは思えない知的レベルの低さ。まるで高校生の恋愛を見ているようだ。高校生なら、ただ相手が好きだ、という感情だけで突っ走っても、その情熱が青春のエネルギーとして昇華されるのだが、ふたりともどう見ても20代後半から30歳くらいだろう。だいたいバスを待っている女に車で水しぶきをかけたことが出会いのきっかけなどというセンスの悪さだし、ケータイを買いに行ったり、Wデートしたり、昔のガールフレンドが現れたりと、もはやつける薬はない。ミンスの先輩が時代劇に出演して尻をひっぱたかれるシーンだけは笑えたが・・・。


しかも、ミンスのほうまで命の期限が限られているというおまけつき。交通事故が原因で脳腫瘍が悪化しているというのだ。しかし、そのエピソードは映画のストーリーには反映されず、ただの思いつきのような安直さ。映画の内容よりもトヨタが販売に力を入れているレクサス車だけが印象に残る映画だった。


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