こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

the EYE 2

otello2006-04-20

the EYE 2


ポイント ★*
DATE 06/2/16
THEATER 映画美学校
監督 パンブラザーズ
ナンバー 24
出演 スー・チー/ジェッダーボーン・ボンディー/ユージニア・ユアン/フィリップ・クォック
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


おどろおどろしい大げさな効果音とともに現れる生気もカラーもない幽霊。妊娠中のせいで情緒不安定のヒロインの心を象徴するように脈絡もないため、怖さより不快感ばかりが募る。清水崇のホラーを安っぽくしたような、アイデアにも情緒にも乏しい作品となってしまった。だいたい、「the EYE 2」というタイトルなのに、「the EYE」とは監督が同じという以上の関連もない上に、物語も「目」とは遠いところにある。


不倫相手の子を身ごもった上に自殺未遂をしたジョーイは幽霊を見るようになる。胎児が成長するにしたがって彼女の精神は安定を欠き、さらに奇怪な現象に悩まされる。特に電車に飛び込み自殺をした女の霊がジョーイに付きまとい、女の霊が胎児に乗り移って転生しようとしていることを知る。


死人の霊が破水した妊婦の股間から子宮にもぐりこみ転生を図るというシーンは確かに不気味だ。しかし、途中で僧侶がジョーイに説明するように、誰もが誰かの転生で、転生した後は前世の記憶はなくなるというのなら、ジョーイ自身も誰か他人の転生で生まれる直前に母親の子宮に入り込んだ他人の霊のはず。ならば、妊婦友達が出産するときに霊に侵入されたり、自分が出産するときに誰かの霊が入ってくることを恐れる理由はない。そもそも転生がテーマなら、何も霊を恐ろしげなものとして描く必要はないはず。まあ、自分の子供が不倫相手の自殺した妻の転生というのはあまりいい気はしないと思うが。。。


大体、霊のほうも胎児の身に転生しようと思っているのなら、その母親に対してもっとフレンドリーになるべきだろう。たとえ記憶が消えてしまうにせよ、転生した後は自分の母親になるのだ。その母親を怖がらせて一体何の得があるのか。もし流産でもしたら、転生できなくなるではないか。いくら死んで霊となってもそれぐらいの計算はできるはず。物語の根本となる設定自体がお粗末な映画だった。


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