こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

幸せのポートレート

otello2006-07-26

幸せのポートレート THE FAMILY STONE


ポイント ★★*
DATE 06/7/20
THEATER シャンテ・シネ
監督 トーマス・ベズーチャ
ナンバー 115
出演 サラ・ジェシカ・パーカー/ダイアン・キートン/クレア・デーンズ/レイチェル・マクアダムス
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


結婚相手の家族とうまくやっていけるか、そんな結婚を間近に控えた女性の身近な悩みを丁寧に掬い取っていく。姑、小姑、義兄弟、ビジネスの交渉ならばお手の物のバリバリのキャリアウーマンでも、感情が優先される縁戚関係にはなかなかなじめない。しかも相手の家族ははビジネスの世界とは縁遠い。血縁のない人々とも家族として付き合わなければならない難しさを、多少の誇張を交えながらもコミカルに描いていく。価値観がまったく違っていても心を割って話し合えばお互い理解しあえることは分っていても、なかなか警戒心を解けないもどかしさが共感を得る。


メレディスは婚約者のエヴェレットの実家でクリスマス休暇をすごそうとするが、早速次女と衝突、気まずい思いをする。さらに、ゲイや障害者を侮辱する発言でエヴェレットの家族全員から総スカン。そんな時、彼女の気持ちを理解してくれたのはエヴェレットの弟・ベンだった。


エヴェレットの家族は皆リベラルで、3男の黒人ゲイ恋人も家族として受け入れている。また、母親が次女の初体験の相手を知っていたり、メレディスの妹も家族として歓迎したり。とにかく形式ばった気取りがなく、自然体で生きているのはヒッピー世代の名残だろうか。そんな中、メレディスはスーツを着たままで、エヴェレットのネクタイをはずさない。このふたりが素に戻った時に初めてお互いが運命の人ではなく、本当に愛している人は誰かということに気づく。


このあたり、クリスマス休暇のほんの1〜2日間の出会いで結婚相手にしてしまうところは拙速に過ぎる。メレディスとエヴェレットは婚約を破棄しただけでなく、新恋人まで同時に得るのだ。いくら出会いに貪欲な米国人でも、これほど安易だろうか。また、末期がんの母にとっての一家がそろう最後のクリスマスという伏線もあまり生かされているように思えない。感情が盛り上がるヤマをもう少し設定するべきだろう。


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