こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

愛と死の間で

otello2006-08-14

愛と死の間で 再説一次我愛イ尓

ポイント ★★
DATE 06/5/31
THEATER シネマート
監督 ダニエル・ユー
ナンバー 84
出演 アンディ・ラウ/チャーリー・ヤン/シャーリーン・チョイ/アンソニー・ウォン
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


死んでしまった愛する者への一途な思い、それは決して途絶えることなく胸に重くのしかかる。どうしてあの時もっとやさしくしてやらなかったのだろう。話を聞いてあげなかったのだろう。何気ない会話や夫婦喧嘩も、もはや取り戻せないとなると懐かしさに涙があふれる。そんな、妻を失った喪失感にさいなまれながら生きる男をアンディ・ラウ情感豊かに演じる。しかし、ミステリー仕立てにする必要性はまったくなく、内容と表現が乖離してしまっている。


交通事故で妻を亡くしたコウは、妻の心臓を移植された女性・ユンサムと偶然に出会う。ユンサムは夫と別居中の上、心臓の具合が悪くあまり長く生きられない運命。コウはユンサムの夫になりすまし、ユンサムの命が尽きるまで彼女のそばにいることを誓う。


妻との時間を十分に取れないまま先立たれてしまったコウが、妻の心臓を持つユンサムに興味を持ち、ユンサムを通じて妻に対する贖罪を表現しようという気持ちはわかる。それでもコウとユンサムの夫・デレクが瓜二つなのはどういうことなのだろう。ユンサムのほうもいくら外見が相似形でも、自分の夫くらい見分けがつくだろう。そのあたりの謎が、物語が進行するうちに大きなシミとなって広がっていくのだが、結局、謎は謎のまま。ユンサムは心臓と一緒にコウの妻・チーチンの心まで移植され、コウに介抱されているときはチーチンの気持ちになり、デレクの前ではユンサムの人格に戻るということなのだろうか。そういう解釈はなりたつが、それではプロットとしては少女マンガのレベルだろう。


大体、時間が不規則なせいでチーチンに寂しい思いをさせた自責の念があるとはいえ、コウはなぜ救急救命隊員になどなったのだろう。優秀な外科医ならその腕を生かしつつも時間通りに仕事を終えることができる職場もあったはず。こんな甘ったるいメロドラマは韓流だけにしてほしい。


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