こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

青春漫画

otello2006-08-23

青春漫画


ポイント ★★*
DATE 06/8/19
THEATER 109シネマズMM
監督 イ・ハン
ナンバー 133
出演 クォン・サンウ/キム・ハヌル/イ・サンウ/ミイネ
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


10年以上にわたる男女間の友情は愛という形に熟成することが可能なのか。お互い子供のときは性を意識しないで済むが、やがて大人になるとイヤでも相手の発する性ホルモンに影響を受けるはず。それでも幼なじみが相手では恋愛の対象としては見られない。むしろ兄妹のような関係に終始して、お互いが別に恋人を作っても嫉妬することはない。しかし、それでも気になって仕方がないという微妙な距離感がコミカルに描かれているが、散文的なエピソードの連続で全多的なまとまりに欠ける。


ジャッキー・チェンのようなアクション俳優兼脚本家を目指すジファンと女優の卵・ダレルは小学校の時からの幼なじみ。ダレルの恋人はジファンの親友で、大学生活をエンジョイする二人は恋人も出来てダブルデートを楽しんだりもする。そんなある日、ジファンは難しいアクションをこなしたことからさらなる大役を任せられ、命がけで成功させる。


映画の3分の2はジファンとダレルの日常生活と彼らの小学校時代の思い出に割かれるが、変化に乏しいエピソードがだらだらとつづられるだけで、わずかに配合された笑いだけが救いだ。主役の二人は夢に向かって必死に努力するわけでも、友情を恋愛に発展させようとする意志もないので、途中まで物語の方向性が見えない。ジファンの交通事故という形で突然物語は動き始めるが、いかにもとってつけたような感じは否めない。


膝から下の右足を失い、せっかく掴んだチャンスをふいにしたジファンは失意のどん底でダレルの前から姿を消す。その過程でジファンはダレルがいかに心配しているかを知るのだが、それもまた友情のレベル。そのあげく、何とか立ち直ったジファンが二人の子供時代の思い出を脚本にして初めてお互いの気持ちに気づくなどというありふれたオチ。どうせなら、二人の記憶の中にあった美しくもほほえましいシーンをクライマックスに持ってくるぐらいのあざとさがあったほうが、映画の構成としてはわかりやすい。童顔なのに体はムキムキという主演のクォン・サンウ同様、アンバランスな違和感を感じる作品だった。


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