40歳の童貞男 THE 40 YEAR-OLD VIRGIN
ポイント ★★
DATE 06/8/11
THEATER UIP
監督 ジャド・アバトウ
ナンバー 128
出演 スティーブ・カレル/キャサリーン・キーナー/ポール・ラッド/ロマーニー・マルコ
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています
下ネタをテーマにしたコメディの場合、いかに下品さを払拭するかで作品のクオリティが変わってくるが、中途半端なスタンスのために最後まで煮え切らない。ディテールにこだわっているようで設定はいい加減な上、主人公を取り巻くキャラクターにリアリティがないため笑えない。こういう物語の場合、見るものにもある程度同じような体験がなければ共感を得られまい。まして、40歳まで性体験のない男の話。エピソードは誇張してもいいが、まったく絵空事では感情移入ができない。
家電量販店に勤めるアンディは女性に高い理想を持ちすぎて、縁遠い人生を送っている。勤務先の仲間の助けで女性と付き合うためのノウハウを教えてもらうがどれもうまく行かない。そんな時、トリッシュという魅力的中年女性と出会う。
規則正しい生活と整列したフィギュアの数々。生身の人間の感情や体温といった存在感を拒絶した生活は、ある意味快適で完結している。アンディにとって女性やセックスというものは「なくてもかまわないもの」。それはそれで調和が取れた世界なのに、何ゆえ友人たちはあそこまでおせっかいを焼くのか。しかも、彼らのやることは露悪的で笑いをとるレベルには程遠く、特に友人の一人が元カノに振られた後に店でお尻を出すなどとは下品極まりない。こんな行為を面白いと感じる感性には到底ついていけない。
また、せっかくアンディがトリッシュに「やってもいいかな」と感じているのに、アンディはコンドームのはめ方を知らずに失敗、事情を知らないトリッシュに無意味なお預けを食わされる。そのあたりの感情もまったく理解できない上に、現実感に乏しい。そもそもアンディ本人に積極的に性行為をしようという意図が希薄。無理にやらせるより、放っておいてやったほうがよほど本人のためだろう。いずれにせよまったく洗練を感じさせない作品だった。