ラッキーナンバー7 LUCKY NUMBER SLEVIN
ポイント ★★★★
DATE 06/1/13
THEATER 109シネマズグランベリーモール
監督 ポール・マクギガン
ナンバー 7
出演 ジョシュ・ハートネット/ブルース・ウィリス/モーガン・フリーマン/ベン・キングスレー
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています
テンポが速く予想のつかない展開、張り巡らされた伏線、できすぎた話を観客に気づかせずに一気に最後まで持っていく力技。複雑な構成にだまされまいと意識を集中するが、その上を行く緻密でアイデアあふれる脚本は気持ちよく欺いてくれる。さらに名優に薀蓄めいた台詞を言わせることで重みを持たせる絶妙のキャスティング。それらがスタイリッシュな映像にまとめられ、上質なエンタテインメントとして個性を放っている。
友人のニックに呼び出されてNYに来たスレヴンはいきなりギャングに拉致され、ボスの下に連れて行かれる。ニックの身代わりとなった彼は借金の肩代わりに敵対する組織の長・ラビの息子を殺せと命じられる。その直後、ラビの部下に身柄を押さえられ、今度は借金の返済を迫られる。
見知らぬ男に間違えられて事件に巻き込まれるという導入部はまさに「北北西に進路を取れ」。「007」のトリビアをさりげなく会話に織り込むなど、過去の映画に対する敬意も忘れていない。主人公がなぜこういう抜き差しならない状況に陥ったかという謎解きと、窮地から脱出するために効かせる機転を描くことでどんでん返しの妙を見せるのかという期待を観客に抱かせながらも、さらに違う結末を用意するというサービス精神には頭が下がる。しかも、一見何の関係もないようなエピソードが後できちんと意味を持つよう整合性も保っていって、練り上げられたストーリーは一瞬も気が抜けない。
結局、すべてはスレヴン自身が仕組んだ罠で、彼の両親を殺したボスとラビに対する恐ろしく手の込んだ復讐であることが明らかにされる。ただ、グッドキャットという凄腕の殺し屋がなぜ少年だったスレブンを救い、一流の殺し屋に育て、さらに復讐に協力したのかその動機は不明。また、善意の第三者・リンジーとの出会いは偶然にしては不自然。彼女にも何か裏があればさらに手に汗握るミステリーになっただろう。