こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

フリーダムランド

otello2007-02-02

フリーダムランド 


ポイント ★★
DATE 06/10/20
THEATER ソニー
監督 ジョー・ロス
ナンバー 180
出演 サミュエル・L・ジャクソン/ジュリアン・ムーア/イーディ・ファルコ/ロン・エルダード
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


表面上は白人と黒人は仲良くやっている。しかし、平穏な日常の中で白人の身に何か異常が起きると、まず最初に疑われるのが黒人という現実。米国社会にいまだに根強く残る黒人への差別。共存はできても決して融和できない人種間の不信と軋轢に1人の白人女性が火をつけ、黒人刑事が鎮火に駆けずりまわる。しかし、小さなウソが暴動寸前にまで発展したにもかかわらず、まったく反省の色もないノーテンキぶりの白人女性をかばおうとする姿勢は納得できない。


黒人貧困層向け団地内で白人女性・ブレンダが黒人に襲われ車を奪われた上に息子を誘拐されたという。警察は犯人を捜すために団地を封鎖するが、ただ1人黒人刑事・ロレンゾだけはブレンダの供述に疑問をはさむ。


ブレンダは黒人地区の保育園で働き地域の黒人たちに慕われていたのだから、人種間の微妙で繊細なバランスがちょっとしたことで暴発することぐらい知っていたはずだ。まして強盗・誘拐という重大犯罪。その濡れ衣を着せられたらどうなるか予想できないことはないだろう。自分の不注意で最愛の息子を死なせたことから判断力が落ちていたとはいえ、その息子が黒人に誘拐されたなどと狂言を演じるなどとは決して許されない。いくらミステリータッチで物語をくるんでも、彼女の責任感のなさ社会的意識や倫理観の低さにはあきれてものが言えない。


更に失踪児を持つ母親の会の協力で数十人を動員して死体探しまでさせるのだ。その段階になってブレンダはやっと息子の死体は自分で埋めたことをロレンゾに打ち明ける。息子の死を受け入れられず錯乱する母親の気持ちは分らないでもない。彼女自身貧困の中で生きることを強いられいたという同情の余地も少しはある。それでも無責任なバカ女の言動が引き起こした騒ぎなのに、彼女を被害者のように描くのは間違っている。


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