こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ホリデイ

otello2007-03-27

ホリデイ THE HOLIDAY


ポイント ★★★
DATE 07/1/18
THEATER UIP
監督 ナンシー・メイヤーズ
ナンバー 11
出演 キャメロン・ディアス/ケイト・ウィンスレット/ジュード・ロウ/ジャック・ブラッ
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


キャリアは順調でも恋愛は不調、気がつけば30歳をとうに過ぎているのに本当に大切な人とは出会わない。そんな女性がバカンスで新たな出会いと人生の価値観を手に入れるという、仕事の上では成功した女性が次に得たいものは何かを入念にマーケティングした上で考えられたような構成だ。見知らぬ土地で暮らし始めた傷心の女性がまるで映画のようなおとぎ話に身を浸す、そんな夢を映画にしているのだが、語り口はあくまで軽く、コミカルな要素も踏まえて肩の力を抜いて見ていられる。


ロンドンの新聞記者アイリスとLAの映画予告製作者アマンダは共に失恋したばかり。ネット上の「ホームエクスチェンジ」に応募して、お互いの住まいを交換し合う。アマンダはグラハムと、アイリスはマイルズと知り合い、それぞれ新たな恋の予感に胸をときめかせる。


何事も積極的な反面仕事上の習慣から第三者のナレーションで自分の行動を客観視してしまうアマンダと、英国人らしい奥ゆかしさと思いやりを備えたアイリス。性格は似ていなくても境遇は似ている。失恋の痛手を忘れようとしていたはずなのに、やはり男に心を動かされずにはいられないというのは女の性なのだろう。そのあたり、こと恋愛に関しては過ぎたことはきれいに忘れてしまう女心がよく描かれている。


2週間という期間限定の恋ゆえに2人とも積極的になれるのだろう。ロンドン−LAの遠距離恋愛がうまくいかないことも頭ではわかっていいる。それでも今目の前にある恋が運命だと思い込み、自分をヒロインにしてしまう女心の才能の豊かさ。現実世界の女性たちは、仕事も恋もと欲張っていられた20代からどちらかを選ばなければならなくなった30代になってしまうと、まだまだオンナでありたいという願望が強いのにもかかわらず恋を諦める。観客は映画の中だけでもファンタジーに身を焦がしていたい。だからこそ、この映画のヒロインたちは恋を選ぶのだ。


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