こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

プロジェクトBB

otello2007-04-11

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ポイント ★★
DATE 07/2/16
THEATER UIP
監督 ベニー・チャン
ナンバー 32
出演 ジャッキー・チェン/ルイス・クー/マイケル・ホイ/カオ・ユェンユェン
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


飛ぶ、跳ねる、滑る、走る、闘う、そしてカーアクション。常に観客をハラハラドキドキさせようとするジャッキーらしいサービス精神がこの作品にもあふれている。しかしこの作品では赤ちゃんをめぐる父性愛や人情を無理やり描きこもうとしたためにストーリーが強引で鼻白み、赤ちゃんが無邪気な笑顔を見せれば見せるほど物語とアクションが乖離する。そしてその距離は最後まで広がり続け、必然性のない設定の連続は本来はコミカルなシーンまで笑えなくしてしまう。


金庫破りのサンダル、フリーパス、大家の3人は、大金に目がくらみ大富豪の血を引く赤ちゃんを誘拐するという仕事を請け負う。誘拐には成功するが大家が警察に捕まり、サンダルとフリーパスは赤ちゃんの面倒を見ることになる。


ビルの外壁をエアコン室外機伝いに飛び降りるシーン、赤ちゃんを追ってのカーチェイスや交差点でのクラッシュ、そしてジェットコースター軌道上の立ち回りなど、これでもかというほどのアイデアが満載。それらのシーンを撮るのにジャッキーがどれほど苦労しているのかは非常によく伝わってくる。しかしその情熱の十分の一でも脚本に注いでほしかった。腕は一流でも家族の愛に見放された男たちが初めての育児を通じて少しずつ変わっていく過程をコメディにして、完全にすべっっている。授乳やオムツ換えにありえないほど大げさなリアクション。このあたりにリアリティを持たせれば子育てする男性だけでなく女性にも支持されたに違いない。


そして大家が釈放された後、3人はカネと引き換えに赤ちゃんを大富豪に渡す。しかしそこで突然、サンダルとフリーパスは愛に目覚め赤ちゃんを取り返そうとする。そこから延々繰り広げられるドタバタ劇にはもはやあくびしか出ず、お決まりのジャッキースタイルの格闘に食傷する。しかも大富豪は赤ちゃんが自分の血を引いていないと知ると冷凍庫に閉じ込めて殺そうとするという飛躍。何も考えずに見る分には楽しめるだろうが、考えてしまうとばかばかしくなる。


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