こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

鉄板英雄伝説

otello2007-06-05

鉄板英雄伝説 EPIC MOVIE


ポイント ★★*
DATE 07/5/17
THEATER 20世紀FOX
監督 ジェイソン・フリードバーグ/アーロン・セルツァー
ナンバー 98
出演 カル・ペン/アダム・キャンベル/ジャイマ・メイズ/フォーネ・チェンバース
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


誰でも知っているハリウッドの超大作ばかりではなく、B級映画までパロディにする守備範囲の広さ。チョコレート工場の内部や、草原で合戦シーンまでこの手のパロディでは珍しく手間がかかっている。しかも、元ネタとあまり顔が似ていない俳優が演じているにもかかわらず、そのしぐさをよく研究したうえでデフォルメしているので、チープな香りがぷんぷんする中にも、何とか笑いをとろうという精神があふれていて好感が持てた。


ルーシー、エドワード、スーザン、ピーターの4人の孤児は偶然にチョコレート工場への招待状・ゴールデンチケットを手に入れる。しかし4人は工場に監禁され、逃げ道を探してクローゼットの中に入ると、そこは白い悪女が支配するナルニア国。4人は救世主として弱った王・アスラのために戦う。


映画の豆知識を問うようなつくりではなく、誰でもが知っている物語の主人公が脇役として登場するところが面白い。特にジャック・スワロウズはジョニー・デップの演技の質を非常に細かいところまで観察していて、指先にまで行き届いた繊細な動きを再現する。ただでさえ大げさなボディランゲージのオリジナルをさらにコミカルに演じ、ノリもいい。また、出番は少ないがサイクロップスがぽかんと口を開けているのにも笑えた。


そして、クライマックスは出演者ほぼ全員によるブレイクダンス。主役から冴えない役まで、みな全身をくねらせ回転させながらリズムに乗った舞踊を披露する。そろそろパロディに飽きてきた観客に対して絶妙の刺激となり、気分を引き締めてくれる。サービスという点では非常にポイントの高い作品だった。それにしても「チャック・ノリス」というブルース・リーと共演した空手家の人名がたびたび出てきて気になったが、どこで映画と絡んでいるのだろうか。


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