こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ゴースト・ハウス

otello2007-07-25

ゴースト・ハウス THE MESSENGERS

ポイント ★
DATE 07/4/25
THEATER 東宝東和
監督 ダニー・パン/オキサイド・パン
ナンバー 83
出演 クリスティン・スチュワート/ディラン・マクダーモット/ペネロープ・アン・ミラー/ジョン・コーベット
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


まとわりつくようなカメラワークとこけおどしの効果音を多用し、怖がらせるというより驚かせることに重点を置いた演出に、映画が始まって15分もしないうちにウンザリしてくる。家に取り付いた亡霊たちが新しい住人たちを襲うという古典的な物語は新鮮味がまったくなく、ただただB級ホラー映画でやりつくされた表現術が羅列されているだけ。もう少し脚本の段階からストーリーをきちんと練りこんで、亡霊の正体となぜ彼らがこの世に恨みを残しているのかをきちんと描かないと、まともな神経の持ち主ならば途中で席を立つだろう。


田舎の一軒家を買い取ってシカゴから引越してきたソロモン家。長女のジェシカは不気味な体験をするが、両親には信じてもらえず、家族はバラバラになっていく。一方、父のジェスが始めたひまわり栽培はジョンという助っ人を得て成功する。


怖がらせの手法はさておき、つじつまの合わないストーリーは致命的な欠陥。前の住人が悲惨な殺され方をして現世に怨みを残すのは分かるが、なぜジェシカがその標的になるのか。そもそも、彼らを殺したのはジョンなのだから、怨みはジョンに向かうべきだろう。そのジョンにしても、自分が殺して埋めた家族がいる農場に戻ってくるという理由がない。しかも、ジョンが戻ってきてからも亡霊の標的はジェシカなのだ。ジェシカが霊感の強い少女だから幽霊を見るというのは分かるが、彼らからのメッセージを受け取るのではなく、直接襲われるのはどう考えても矛盾する。


結局、人里はなれたところにある呪われた家、という素材だけ先にあって、何も考えずに撮影に入ったようなばかげた展開。上映時間が短かったことが、この映画の唯一の長所だった。


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