こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

包帯クラブ

otello2007-09-24

包帯クラブ

ポイント ★★*
DATE 07/9/20
THEATER TOEI
監督 堤幸彦
ナンバー 189
出演 柳楽優弥/石原さとみ/田中圭/貫地谷しほり
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


高く透き通った空と力なき冬の陽光を背景に、風になびく純白の包帯。そのイメージは、まだ人生に対して純粋な心で立ち向かうことができる高校時代を象徴している。悩み、傷つき、そして成長する。そこに必要なのは同じ目的に向かって走ることができる友人。強烈な喪失感と未来への漠然とした閉塞感にさいなまれるヒロインが、やさしさだけでは解決しない他人の痛みを理解する過程で大人への階段を上っていく。ただ、文学かぶれの若造が自分の言葉に酔っているようなベタなセリフと、フォークソング風ギターの音色が暑苦しい。


手首を切って手当てを受けた女子高生のワラは、病院の屋上でディノという奇矯な高校生と出会う。2人は友人を巻き込み、傷ついた人の心を癒す「包帯クラブ」を結成、街中の哀しい記憶に包帯を巻いていく。


子供のときに両親が離婚、「どんなに出来が悪くても親なら自分の子供がいちばんかわいいはずなのに、父親に捨てられた私ってなんなのだろう」と思っているワラは他人に必要とされることが必要だったのだろう。包帯クラブの活動が眠っていた可能性を目覚めさせ、他人に感謝されることで彼女を活発な女子に変えていく。一方のディノが抱える闇はもっと深いように見えるが、中学時代の親友が別の友人を刺して大ケガをさせたことがトラウマとなっているということ。しかし、この設定はかなり強引で説得力に欠け、クレイジーなまでに自傷行為に走るディノの深層心理に届いているとは思えない。


結局、ワラはディノのおかげで壊れた友情を取り戻し、自分たちでも少しは世界を変えられることを知る。言葉だけでなく、まず行動を起こすこと。ワラの姿を通じて、何かを変えるにはまず自分から変わらなければならないことをこの作品は教えてくれる。それにしても高崎の女子高生はみな、冬の間スカートの下にジャージをはいているというのは本当なのだろうか。。。


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