こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ローグ アサシン

otello2007-10-06

ローグ アサシン WAR


ポイント ★★
DATE 07/9/4
THEATER アスミック
監督 フィリップ・G・アトウェル
ナンバー 176
出演 ジェット・リー/ジェイソン・ステイサム/ミッキー・ローク/石橋凌
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


正体不明の暗殺者を追う復讐に燃えるFBI捜査官。米国進出を狙う日本ヤクザと中国マフィアの勢力争い。2つの対立要素が絡み合い、複雑な人間関係と共に謎が謎を呼ぶ。暗殺者の二重三重の裏切りに日中の犯罪組織プラスFBIという視点が加わり、非常に盛りだくさんで野心的な脚本だ。しかし、肝心の主演ふたりの肉体的なパフォーマンスを見せるシーンが少なく物足りない。大量の銃弾に頼るのではなく、格闘シーンに鍛え上げた俳優だけが見せることができるあっと驚くようなアイデアが欲しかった。


FBI捜査官のジョンは相棒のトムをローグという殺し屋に惨殺され、復讐を誓う。3年後、ヤクザ組織を皆殺しにした現場でローグが使う薬莢が発見され、ヤクザと中国マフィアの抗争に激化する一方、ジョンはローグを追う。


ジェット・リージェイソン・ステイサムも超人的な体術を使うわけではない。その一方で石橋凌ケイン・コスギが真剣で剣道の稽古をするなど、リアリティにこだわっているようで荒唐無稽。また、ヤクザと中国マフィアの抗争の火に油を注いでいくローグの本当の狙いも明らかにならない。その間、さらに中国マフィア内部でも対立を煽り組織を弱体化させていく。そこにジョンがローグの正体を暴こうと絡むのだが、見せ場の連続というより、展開だけは速いが物語が整理されていないため駆け足でなぞっているようにしか見えない。


結局、ローグの正体は死んだはずのトム。FBI内部の裏切り者をあぶりだすために顔も声も整形し日中の犯罪組織の対立を利用していたというもの。そしてジョンに裏切り者の疑いをかけ、復讐の機会をうかがっていたということ。ローグの正体に関してのどんでん返しは思いもよらなかったが、ジョンの裏切りに関しては曖昧なまま。トムがジョンを殺した後にジョンの潔白が証明されるくらいのひねりが欲しかった。映像はシャープで切れ味があったが、見終わった後の爽快感にかける作品だ。


↓メルマガ登録はこちらから↓