こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ゾンビ3D

otello2007-11-18

ゾンビ3D NIGHT OF THE LIVING DEAD 3D


ポイント ★*
DATE 07/9/19
THEATER ショウゲート
監督 ジェフ・ブロードストリート
ナンバー 188
出演 ブリアンナ・ブラウン/ジョシュア・デローシュ/シド・ヘイグ/グレッグ・トラヴィス
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


血しぶきや脳漿がスクリーンを飛び出して観客の顔に降りかかる、はずだった。しかし、動きののろいゾンビがのそのそと体を揺らしながら歩いてきて人間に襲い掛かるという、3Dにすることがほとんど意味がないようなシーンばかりで、ゾンビに立体感を持たせることの効果があらわれていない。映画は通常のゾンビものとなんら変わることなく、追い詰められた人間のエゴやゾンビを生んだ男の恐るべき素顔などもほとんど描かれていない退屈な展開となってしまった。


おばの葬式に出席するためにバーブは兄と共に墓地にやってくる。現場に人影はなく、突然時間が止まったよう。そこにゾンビが現れ2人を襲う。バーブは命からがら逃げ出し、済んでのところベンという青年に助けられる。


ベンとバーブが逃げ込んだ家がマリファナ栽培していて警察に連絡できない一方で、ゾンビに襲われたことを誰にも信じてもらえない。そのジレンマがバーブを追い詰める間に屋敷はゾンビに包囲される。やがてその家の一人娘がゾンビとなって父親を襲い、父親は自分がゾンビ化する前に妻と娘と共に死を選ぶ。これだけが唯一人間の感情を感じさせるシーンだった。


結局、火葬場の管理人・ジェラルドが密かに溜め込んだ死体に実験用の薬品がかかってゾンビとなって蘇ったというのが原因。ジェラルドはゾンビを作ることで神にでもなったような気でいるのだが、ゾンビを通じて恐れべき悪事を企んでいるというのならともかく、命令に従わないゾンビをもてあましているという間抜けさ。また、極限状態で人間たちが徐々にその本性をあらわにしていくという心理的サスペンスにも乏しい。ゾンビの描き方にしても、かすかに残っている人間の良心とゾンビとしての食欲に葛藤するシーンなどを折りこめば、少しは新しさを感じさせてくれたはずだったのだが。。。


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