こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

フライボーイズ

otello2007-11-20

フライボーイズ FLYBOYS


ポイント ★★*
DATE 07/10/24
THEATER MB
監督 トニー・ビル
ナンバー 215
出演 ジャームズ・フランコ/ジャン・レノ/マーティン・ヘンダーソン/ジェニファー・デッカー
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


大空への憧れと自由に飛翔する喜びが若者を駆り立て、まるでスリルを楽しむかのように飛び立っていく。そこに悲壮感はなく、たとえ戦死しても英雄として人々の記憶に残ることを信じている。戦争とそれに参加した主人公を描いているのに、殺し合いの無益さや悲惨さ、たとえ生き残っても心に傷を負うなどという反戦の意識は微塵もないところがかえって潔い。国のため、大儀のために命がけで戦うことに意義が見出せた時代の雰囲気がよく出ている。


第一次大戦中、仏空軍に志願した米国の若者たち。フランスに渡り訓練を受け、やがて初陣のときを迎える。しかし、独軍の待ち伏せで大損害を受ける。そんな中、リーダー格のローリングスは地元の娘と恋に落ちる。


空軍パイロットというのは欧州では貴族階級出身なのだろう。独軍撃墜王ブラックホークは敵に対しても敬意を失わず、卑怯な闘い方はしないという信念を持っている。機銃が故障したローリングスを追い詰めながら見逃すシーンに、騎士道精神が凝縮されている。また、一騎打ちを挑んできた相手には味方も手を出さないといったシーンを通じて、礼節が色濃く残る最後の戦争としてこの大戦を描いている。戦闘は自分の可能性にチャレンジし名誉を高める場、だからこそ民主主義とフェアプレーを叩き込まれた米国の若者たちも前線に志願するのだ。


仏軍の複葉機vs.独軍の三葉機の息詰まる空中戦シーンは目を見張る。スピードよりも度胸とテクニック、敵の表情が見える距離まで接近しての機銃掃射。銃弾が翼を突き抜け、パイロットを打ち抜く。時に機体ごと体当たりまでして敵機を撃墜する。敵が強いほど燃え、戦いを挑む米兵の姿からはスポーツのような爽快感があふれ出す。ただ、ローリングスが前線に墜落した仲間を助けに行ったり訓練機を私用に使ったりと、無理な設定が足を引っ張り、物語からリアリティを奪っていたのが残念だ。


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