こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

シューテム・アップ

otello2008-06-03

シューテム・アップ SHOOT'EM UP


ポイント ★★★
DATE 08/3/24
THEATER シネマート
監督 マイケル・デイヴィス
ナンバー 72
出演 クライブ・オーウェン/ポール・ジアマッティ/モニカ・ベルッチ/
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


圧倒的多数の武装集団を相手にたった一人で立ち向かう主人公の小道具の使い方が秀逸だ。ニンジンを悪党の口に突き刺し、床にオイルをまいて滑り、ドライヤーで敵の手を焼く。さらに机の引き出しや公園の遊具、荷運び用ローラーからロープまで、目に付くものは何でも利用して数的な不利を覆す。また、ネズミを使ったカラクリを隠れ家の鍵にしたり、マナーの悪いドライバーや子供をたたく母親に制裁を加えたりもする。ただ強いだけではなく、アイデアと感情も豊富に持ち合わせている。そんな男を苦虫を噛み潰したような顔のクライブ・オーウェンが好演している。


大勢の男に追われる妊婦を救ったことから、その赤ちゃんを預かることになったスミス。赤ちゃんプレイ専門の娼婦とともに逃げ、赤ちゃんの素性を探る。その裏には銃規制を唱える大統領候補と銃製造会社の密約が絡んでいた。


スミスは銃器の扱いと射撃の腕に長け、あらゆる体勢から正確に敵の急所を撃ち抜く。一方、彼を追う組織のボス・ハーツは頭脳プレーでスミスの追い詰める。スミスは逃げながらも組織の陰謀を暴き、ハーツもまたスミスの動機と正体に気付いていく。そのあたりの駆け引きが、派手な銃撃戦やカーチェイス、パラシュート降下での空中戦を売り物にしている割にはきちんと描かれていて、荒唐無稽になる一歩手前で爽快感を味あわせてくれる。


そして、大統領候補が難病治療のドナーを得るために赤ちゃん製造工場を作っていたが、そこを銃製造会社に雇われたギャングが襲い、スミスが助けた赤ちゃんは最後のドナーという事情が明かされる。赤ちゃんは両方の組織から狙われ、スミスの命も危機一髪。後半は事件の真相を明らかにするというミステリーの要素も加わり、映画はよりヒートアップする。余計な説明はなく後日談もスッキリしていて、非常にテンポのよい作品に仕上がっていた。


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