こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

近距離恋愛

otello2008-07-14

近距離恋愛 MADE OF HONOR


ポイント ★★
DATE 08/5/2
THEATER ソニー
監督 ポール・ウェイランド
ナンバー 107
出演 パトリック・デンプシー/ミシェル・モナハン/ケヴィン・マクキッド/シドニー・ポラック
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


カネにも女にも不自由せず友人にも恵まれた優雅な独身男が初めて経験する深い愛。その相手は10年にわたってなんでも話せる親友として付き合ってきた女。今まで友情しか感じてこなかった女が婚約相手を伴って現れたとき、男は自分の気持ちを知る。結婚というイベントを前に舞い上がっている女と、なんとか阻止して彼女を取り戻そうとする男の心理戦が始まる。ただ、ほしいものは手に入れてきたこの男が、更に理想の恋まで成就させるという筋書きはいささか甘すぎる。


遊び人のトムは、学生時代から友人としてつきあっているハンナが出張中に運命の恋人・コリンに出会い、結婚を約束して帰ってきたことに大慌て。しかも相手はスコットランド公爵家の血を引く大実業家。本当はハンナを愛していることに気付いたトムは花嫁付添い人の立場を利用してハンナを心変わりさせようとする。


パテント収入で働く必要もなく日替わりで女も選び放題というトムは非常にイヤなヤツなのだが、ハンナの前では正直でいられる。堅実なハンナはそんなトムをなぜか突き放さない。しかし、ハンナの結婚相手としてはやはりコリンのほうがお似合い。それでも完璧すぎるコリンのプロフィルと伝統的なしきたりにハンナは息苦しいものを感じ始める。そのあたりの繊細な女性心理が丁寧に描かれている。


ニューヨーク暮らしになじんだ身にはスコットランドの水と緑は合わない。一度は決心したもののハンナは都会のライフスタイルに未練を残していて、ひとりで逃げ出す勇気はないが、そういう状況からトムが救い出してくれるのを期待している。「本当にこの男と結婚してしまっていいのか」という疑問はあわてて結婚を決めた多くの女性が持つ。だからこそ実際には映画の中だけと分かっていても、花嫁を奪いに来る男の物語がいまだに作られること自体、こういったシチュエーションに憧れる女性が多いということだろうか。。。


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