ハムナプトラ3/呪われた皇帝の秘宝
ポイント ★★*
DATE 08/7/24
THEATER THRP
監督 ロブ・コーエン
ナンバー 179
出演 ブレンダン・フレイザー/ジェット・リー/マリア・ベロ/ジョン・ハナ
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています
まるで出撃直前に突然時間を止められたかのように並んだ武装した兵士と軍馬は、一体ごとにすべて個性を持たせた実物大の素焼き人形。彼らは、魔法をかけられたまま20世紀まで忘れ去られた、2000年以上前に君臨した中国皇帝の軍団なのだ。その皇帝と部下たちが命を吹き込まれ、整然と行軍する姿は圧巻だ。そして皇帝軍に挑む奴隷のミイラ。このシリーズのお約束ともいえる砂漠での大合戦シーンはかつてないスケールで繰り広げられるが、双方肉体の痛みを伴わないだけに重量感の乏しいビデオゲームを見ている気分だ。
リックとエブリンは引退後の余生を楽しんでいたが、政府の極秘指令で上海に行き、そこで兵馬俑を発見した息子のアレックスと再会する。一方、中国統一を目論むヤン将軍はアレックスが発掘した皇帝を蘇らせ、不老不死の泉が湧くというシャングリラを目指す。
古代中国の皇帝が暴虐の限りをつくした上に呪術師に呪いをかけられるプロローグから、遺跡の仕掛け、馬車とトラックのカーチェイス、さらにはヒマラヤでの雪男を交えての攻防からクライマックスまで息つく間もないアクションの連続。物語は圧倒的なスピードで展開するため、ディテールはほとんど省みられない。たとえば中国人には中国語をしゃべらせいるところは好感が持てるが、皇帝に刺された呪術師のツイが娘のリンと話す場面だけなぜか英語になっていたり、中国の龍には翼がないはずなのに皇帝が三首の龍に変身して空を翔るなど、詰めが甘かったりする。
この映画は五輪に合わせて企画されたのは間違いないが、その意義は国共内戦やチベット問題にあえて触れずに、神秘的な中国趣味だけを借りて「THE MUMMY」シリーズを復活させたこと。ただ、前2作からの流れとはいえ「ハムナプトラ」という邦題は無理がある。また、主人公が成長した息子と共闘する点は嫌でもスピルバーグ作品を連想させ、8月公開がマイナスに働かなければよいが。。。