こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ベガスの恋に勝つルール

otello2008-08-18

ベガスの恋に勝つルール


ポイント ★*
DATE 08/8/15
THEATER 109GM
監督 トム・ヴォーン
ナンバー 196
出演 キャメロン・ディアス/アシュトン・カッチャー/ロブ・コードリー/トリート・ウィリアムズ
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


何事も計画どおりに運ばないと気が済まないキャリアウーマンと、仕事も恋も中途半端なままの男。格差社会の両極端にあるような男女が大金目的に結婚生活を送るシチュエーションは説得力に欠け、コメディとして突き抜けないと興味が殺がれるばかり。さらにヒロインを演じるキャメロン・ディアスにかつてのような輝きがなく、筋だった首や深いほうれい線、くすんだ肌はとても恋に落ちる女性には見えない。ウォール街で働いているのはこういうタイプが多いのだろうが、もう少し夢を与えるべきだ。


失恋したジョイとクビになったジャックは、ともに鬱憤を晴らすために友人とラスベガスに行き、偶然知り合ったふたりは意気投合、酔ったはずみで結婚式を挙げてしまう。翌日正気に戻って別れようとするが、スロットで300万ドルあてたことから結婚生活を続けることになる。


半年間正常な夫婦でいられれば150万ドルずつ山分けして離婚という裁判所命令で、ジョイはジャックのアパートに転がり込んで「結婚生活」を始める。しかし、高給取りと思われるジョイがなぜあれほどカネに固執するか。一方のジャックは失業中なのにカネに困っている様子はない。150万ドルが手に入る当てがあるから借金しているのかもしれないが、そのあたりの金銭感覚のズレをもと細かく描いていればリアリティが出て共感できる部分もあったはず。ところがありえないような男女の生活感覚や性衝動の相違が強調されるだけでなく、ふたりがカウンセラーのオフィスまで競走するシーンなど、まったく笑いのツボを外していて、迷惑な奇行にしか見えない。


結局、一緒に暮らすうちにお互いの魅力に気づき、今度は本当に結ばれるお約束通りの結末。一応ジョイが突然姿を消すひと波乱が用意してあるが、ジャックが見つけられるようにヒントを残すというあざとい思惑がミエミエだ。もっと設定にも登場人物の心理にもディテールにこだわらなければ、スクリーンの中のバカ騒ぎは見ているほうがつらい。


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