こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

インビジブル・ターゲット

otello2008-09-02

インビジブル・ターゲット 男兒本色

ポイント ★★★*
DATE 08/7/1
THEATER Togen
監督 ベニー・チャン
ナンバー 157
出演 ニコラス・ツェー/ジェイシー・チェン/ショーン・ユー/ウー・ジン
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


走行中の自動車に体当たりし、屋根の上を走り、高いビルから飛び降り、炎の中で闘う。ひとつ間違えば大ケガ必至だが、観客を楽しませるために命がけのスタントに挑む作り手の熱い魂を感じる。格闘シーンも極力ワイヤーに頼らず、出演者が生身の肉体を総動員して、突きや蹴り、投げ技から関節技まで攻撃を受けたときの痛みが伝わってくるようだ。それらの場面が息つく間もなく連続し、スクリーンから一瞬たりとも目が離せない。まさに香港映画の原点に戻ったようなサービス精神満点の作品だ。


武装強盗団に婚約者を殺されたチャン、強盗団のボス・ヨンサンに屈辱を味あわされたフォン、潜入捜査官の兄を探すワイ。3人の正義に燃える若い警官たちが、香港に舞い戻った強盗団を追う。しかし、ヨンサンら強盗団は屈強で、警官たちを難なく撃退する。


体のキレと技のスピード、若い3人の俳優が役作りのために相当なトレーニングを積んだことがうかがえる。そして彼らの動きを効果的に見せるためにあらゆる演出やカメラワークが駆使されている。さらにウー・ジン扮するヨンサンの圧倒的な強さ。ほとばしるようなパワーに加え、どんな動きにも対応できる柔軟さ、多彩な打撃パターンと3人がかりでも倒せないタフなボディ。最近、特殊技術に頼り気味のジェット・リーに代わる新世代のリアルカンフーアクターだ。サングラスをはずすと顔がやや平板なのが人気に影響するかもしれないが。


ヨンサン一味は警察の高官に奪ったカネを横取りされたことから警察署に乗り込む。そこでも圧倒的な戦闘能力を発揮して警官隊を寄せ付けない。警察内部に裏切り者がいるという事件の真相に気付いた3人もヨンサンらを追い、署内での派手な銃撃戦・肉弾戦が繰り広げられる。そのあたりの展開はあくまでアクションのおまけ。ただ登場人物が繰り広げる見せ場の波状攻撃に身をゆだねるだけで、大量のアドレナリンの分泌が促される稀有な体験ができた。


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