こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

デイ・オブ・ザ・デッド

otello2008-09-04

デイ・オブ・ザ・デッド DAY OF THE DEAD


ポイント ★★★
DATE 08/8/6
THEATER 映画美学校
監督 スティーヴ・マイナー
ナンバー 191
出演 ミーナ・スヴァーリ/ニック・キャノン/ヴィング・レイムス
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


全速力で疾走し、高くジャンプして襲い掛かる。さらに壁や天井を這いまわり人間たちを追い詰め、その肉を喰らう。ウイルスに感染したゾンビたちは理性を失う代わりに抜群の身体能力を身につけ、頭部が残っている限り決してあきらめない。映画は、少数の非感染者のサバイバルランの途中でゾンビたちを殺しまくる一方、仲間が一人また一人と脱落していくという「ゾンビもの」の定型をなぞりながらも、スピードとスリルを増幅させる工夫が満載だ。また、ベジタリアンはゾンビに噛まれてもても、肉を食べないために人間を襲わないという設定が笑える。


コロラド州の山奥の街が軍隊によって封鎖される。伍長のサラは家族を救出に向かい、容態が悪化した母親を病院に連れて行く。そこには大勢の病人がロビーで待機していたが、やがて空気感染するウイルスが発症し、患者はゾンビ化して人々に噛み付き始める。


両足を食いちぎられた大尉が上半身だけで逃げるサラを追ったり、生存者の一人を突然天井に引きずりあげるなど、強化された肉体を得たゾンビたちの活躍が目を見張る。スローな動きしかできず人間たちの殺戮の標的でしかなかったゾンビが、脚力や腕力を得て対等以上の戦いを見せる。完全に知性を失わず、逃げてきたサラたちを食うために他のゾンビと集団戦術まで取る者まで現れるのだ。逆にサラの部下だった男は、彼女への思いと菜食主義のおかげでわずかに理性を残し、サラたちを救おうと自分を犠牲にする。このあたり、表現方法の進歩だけでなくゾンビ自体も進化させることで、さらなる恐怖を盛り上げている。


サラたちは封鎖線を突破し廃棄されたミサイル基地に逃げ込むが、そこがゾンビウイルスの震源地。ゾンビは火に弱いことを知った彼らは、ロケット用燃料でゾンビを一気に焼き尽くす。ゾンビの人間襲撃法も、人間のゾンビ対処法も、さまざまな新アイデアがちりばめられて、意外と楽しめる作品だった。


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