こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

シャッター

otello2008-09-15

シャッター SHUTTER

ポイント ★★
DATE 08/7/23
THEATER FOX
監督 落合正幸
ナンバー 178
出演 ジョシュア・ジャクソン/レイチェル・テイラー/奥菜恵
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


人間の怨念が写真に入り込み無念を訴える。それはアナログフィルムの時代ならば説得力があったが、デジカメと画像修正ソフトの普及で誰でもそれらしい心霊写真を作れるようになった今ではもはや時代遅れの感がある。女の霊が、怨みを抱いた男の撮影した画像に侵入して、ビジネスの邪魔をする行動は理解できるが、物理的影響を与えることができるのならば心霊写真になる必要などない。せめてデジタルデータに変換されたときに、今まで誰も考え付かなかったような映像で怖がらせて欲しかった。背後例のように男の首の上に乗っかるというアイデアだけでは少し寂しい。


カメラマンのベンはジェーンと結婚、日本にハネムーンを兼ねた仕事に出かける。夜、2人はドライブ中に若い女をはねるが死体は見つからず、翌日撮った記念写真には不気味な白い影が写っていた。その日からベンとジェーンの周りに怪奇現象が多発する。


その原因は、ベンが昔付き合っていためぐみという若い女なのだが、何ゆえめぐみはジェーンを驚かすのか。後に、めぐみはベンの正体をジェーンに知らしめるために現れたことが分るが、結婚する前に警告すればすむこと。ベンとジェーンが新婚旅行で日本に来るのを待つとは相当陰険だ。楽しいハネムーンをぶち壊しベンのフォトグラファーとしての信用を奪ったうえ友人をひとりずつ殺すという、復讐の過程を楽しんでいたのかもしれないが、それならばめぐみの霊にもっと邪悪な感じを出すべきだろう。


また、ジェーンがインテリジェントビルに忍び込むシーンがあるが、部外者が簡単に忍び込めるようなオフィスは今の東京に存在しない。さらに、めぐみの母親はめぐみの遺体をミイラ化するまで家に置いていて、ベンとジェーンの訪問直後に何事もなかったように葬儀をしているが、死体遺棄罪に問われないのか。このあたり、基本的なリサーチを怠ったゆえの甘さが作品から恐怖のリアリティを奪っている。


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