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映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

フライング☆ラビッツ

otello2008-09-23

フライング☆ラビッツ


ポイント ★★
DATE 08/9/13
THEATER 109GM
監督 瀬々敬久
ナンバー 224
出演 石原さとみ/真木よう子/高田純次/渡辺有菜
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


やりたいことがたくさんあってそれらをみなこなす欲張りなヒロインが、がむしゃらに突っ走る姿は共感や感動を通り越して滑稽。日本航空の客室乗務員になるだけでも大変なのに、バスケットボールの部活と試合もこなさなければならない。さらに恋人ともラブラブに。どれか一つに絞ることで他のものを捨てるといった選択肢は彼女の中になく、とどまることを知らないパワーは迷わず3つを鼎立させようとする。その、悩んでいるくらいなら全部やっちゃえ的ノーテンキな明るさは、元気づけられるよりばかばかしさが先に立つ。


客室乗務員としてJALに入社したゆかりは、会社のミスでバスケットボール部・ラビッツに入部させられる。まったくの初心者ながら合気道で鍛えた体術でディフェンスを抜き、いきなりスタメンに抜擢される。


当然仕事が優先なのだが、ラビッツは全日本クラスの強豪だけに練習もハード。しかし、両立させるための苦労はほとんど描かれず、ゆかりにとって何が一番大切なのかわからない。ラーメンとチャーハン、好きだったら両方食べると彼女は言うが、それでは結局どちらも中途半端に終わるだけだろう。その上、恋人が自分との関係を問いただした時に「別腹」と答えるシーンに至っては唖然とさせられた。最初からコメディと分かっていればここで大笑いできたはずだが、ストレートな描き方のために微妙な脱力感しか得られなかった。


勤務をすっぽかしたことから謹慎処分になったゆかりは、リーグ戦の開幕試合に駆けつける。そして途中出場して大活躍するのだが、会場に恋人が現れスキンヘッドの袈裟姿で「アンパンマンの歌」を熱唱する。本来ならここも爆笑シーンなのかもしれないが全く反応できなかった。おまけに試合はラビッツが負けたにもかかわらず、なぜか場内にラビッツコールが起きる。ここまでくると、もう勝手にやってくれという感想しか持ちえない。そもそもいかに天才的な運動能力を持っていても、ビギナーが1年足らずでトップ選手になるのは不可能。真面目にバスケットボールに取り組んでいる人が見れば不快感を催すのではと心配になった。


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