こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

最後の初恋

otello2008-10-05

最後の初恋 NIGHTS IN RODANTHE


ポイント ★★
DATE 08/9/29
THEATER WMKH
監督 ジョージ・C・ウルフ
ナンバー 236
出演 リチャード・ギア/ダイアン・レイン/スコット・グレン/ジェームズ・フランコ
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


額や目尻のしわだけでなく、ほおのたるみも隠さずに、クローズアップをスクリーンにさらす。ダイアン・レインという美人女優が自分の年齢を受け入れる姿は、見た目のアンチエイジングの流行に逆行する自然な美しさを感じる。ここ最近、ありのままの素顔で映画に出演し続ける彼女の姿勢は、60歳を過ぎていまだ若作りを止めない吉永小百合とは大違い。もちろんボディラインは完璧にコントロールされているが、家族のことで忙殺される等身大の40代という役柄にリアリティを持たせている。


夫と別居中のエイドリアンは、友人のコテージを手伝うことになる。そこに泊まりにきたただ1人の客・ポールは、手術の失敗で患者を死なせてしまった上に息子とも疎遠になった外科医。そこに大型ハリケーンが接近してコテージは孤立する。


夫や子どもたちとのトラブルだらけの日常から一時解放されたエイドリアンと、患者の遺族に会うという重荷を背負ったポール。医師としての腕は一流でも遺族の心のケアまでは手が回らなかったポールに、エイドリアンは何をすればよいかを諭す。さらにハリケーンの脅威がふたりの距離を一気に縮める。傷ついた男女がお互いを慰めあい理解しあううちに愛が芽生えていくという、余りにも通俗的な物語は中年主婦向けのメロドラマとしては定番なのだろうが、もう少し何らかの意外な仕掛けが欲しかった。


やがて、遺族と和解して息子に会いに行くポールはエイドリアンの元を去る。ふたりは文通でさらに愛を確かめ合うが、手紙が届くたびにきれいになっていくエイドリアンに、恋は女を美しくするということを実感する。たとえ相手に会えなくてもときめく気持ちが表情に出るからだろう。その後ポールが事故で死んでしまうという展開も非常にベタで、ポールの遺品を彼の息子から受け取ったエイドリアンがもう一度自分の人生を見つめなおすラストも予想通りだ。まあ、夫の不倫は許さないくせに、自分の浮気は「一生に一度の運命の恋」のように美化する女の身勝手さはよく描けていたが。。。


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