こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

アメリカン・ティーン

otello2008-10-16

アメリカン・ティーン AMERICAN TEEN

ポイント ★★*
DATE 08/8/19
THEATER PJ
監督 ナネット・バースタイン
ナンバー 200
出演 ハンナ・ベイリー/コーリン・クレメンズ/ジェイク・トゥッシー/メーガン・クリズマティック
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


高校の最終学年といえば、学園生活の集大成として何らかの成果をあげるなり、追いかけていた夢をあきらめて現実的な目標に切り替えるなり、その区切りとなる最後の一年を悔いのないように過ごそうとするのが日本人だが、米国の地方都市においては、あくまで人生における通過点のひとつに過ぎないように見える。5人の主要な登場人物のうち、バスケットで大学の奨学金を目指している男子生徒以外は、皆一応大学を目指しているものの目の色を変えている様子がないのは、普段の成績と面接・推薦で合否が決まるからなのだろうか。受験というプレッシャーがなく、オープンに恋をして友情を確かめ合う彼らがうらやましい。


インディアナ州の保守的な小さな街のハイスクール、学園の女王で性格もきついメーガン、ゲームオタクのジェイク、アーティスト志向のハンナ、バスケットでプロを目指すコーリン、同じくバスケ部ながら交友範囲が広くハンナと付き合い始めるミッチ。最上級生5人の1年間を追う。


一応ドキュメンタリーの手法をとっているが、女子同士のナイショ話やハンナとミッチのデートにカメラが入り込むのは不自然だし、シーズン最終試合でコーリンが終了間際に逆転の3点シュートを決めるなど余りにもできすぎたシーンは演出のように思える。それでも、作りこまれた設定やセリフを極力排除することでリアリティを出し、どこまでが事実でどこからが創作なのかが見分けられないほどおのおののエピソードは自然な流れで、逆にいえば劇的さに欠ける。


やがて春になり、進路が決まり始める。ハンナが両親の反対を押し切ってサンフランシスコに旅立つ以外はみな地元の大学に進学する。ただ、特別ではない普通のティーンエージャーの日常に終始するだけで、もう少し頑張っている姿や悩んでいる姿もとらえて欲しかった。青春時代の真っ只中にいるうちは気付かないけれど、彼らもきっと大人になって振り返ったとき、高校時代がいちばん輝いていたと思えるようになるだろう。。。


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