大丈夫であるように −Cocco 終らない旅−
ポイント ★★
DATE 08/9/17
THEATER 映画美学校
監督 是枝裕和
ナンバー 226
出演 Cocco/長田進/大村達身/高桑圭
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています
舌足らずなトークでほとんど意味不明のことをとりとめもなく話しているかと思えば、歌いだすと一転して饒舌に感情を訴える。沖縄という、米軍基地を憎みながらも依存しなければ生きていけない運命を背負った島に生まれ育った諦めと悲しみ、その一方で明るく前向きに暮らしている人びとのしたたかさ。人はまだしも、太古から住むジュゴンの海を奪われることに対しては怒りを露にし、抗議行動に立ち上がる。映画はCoccoというシンガーソングライターの2ヶ月間にわたるツアーに密着することで、彼女の生き方を浮き彫りにしていく。
07年11月、名古屋を皮切りに全国ツアーを始めたCocco。青森県の六ヶ所村に住むファンからの手紙で原子力施設を訪れる。そこは「厄介者を受け入れる代わりに補助金を得る」という構図の村。その現実を自身のふるさとである沖縄に重ね合わせる。
30歳を過ぎても自分のことを「あっちゃん」と呼ぶ幼稚なメンタリティには驚きを通り越して引いてしまう。コンサートで見せる女子高生みたいなMCはいったい何なのだろう。考えを一生懸命に伝えようとしているのは理解できるが、話の筋がまったく整理されておらず心に浮かんだことを口にしているだけ。素人が緊張のあまりこういう話し方になるのは仕方がないが、一応プロならばもっと話の内容を整理するべきだろう。純粋さは伝わってくるが、難しいことは何も考えずに言葉を口にしているだけのようだ。
しかし、終盤になって「もののけ姫」について語り始めるとまるで別人のようになる。人間による環境破壊の結果、自然が大きく傷つくが、最後に希望を持たせるというラストに、若いころは憤り、子どもを持った今では宮崎駿に感謝している。少女のまま年を重ねたような彼女も、実は内面が非常に成長していることがこのシーンに凝縮されていた。ならば、ライブステージでもう少しきちんとしゃべればいいと思うのだが。。。