こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ウォーリー

otello2008-12-08

ウォーリー WALL・E

ポイント ★★
DATE 08/12/6
THEATER THYK
監督 アンドリュー・スタントン
ナンバー 296
出演
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


胸の前で両手の指を組んで愛する気持ちを表わし、相手の指に自分の指を絡ませることでその思いを伝えようとする。それだけではなく、主人公のロボットは好奇心や喜びや恐怖まで身に付けている。一方で相手役となる最新型のロボットは目の形で喜怒哀楽を表現する。2体のロボットの間には名前を呼び合う以外には会話はなく、ただ身振り手振りだけでコミュニケーションをとっている。お互いの感情を伝えるのに言葉は必要なく、ボディランゲージと行動だけで意思が伝わることを教えてくれる。


環境汚染のために人間が去った地球でゴミ処理ロボットとして働くウォーリーは、ある日宇宙船からやってきた探査ロボット・イヴと出会う。イヴは植物の苗を見つけると宇宙船に戻るが、ウォーリーもイヴを追いかけて宇宙船に飛び乗る。


彼らが到着したのは、ノアの箱舟のような巨大宇宙客船。地球が植物の生育できる状態に戻ったことを知った船長は人間を地球に戻そうとするのだが、宇宙船を管理するロボットの反乱にあう。映画史上の名作に対するオマージュといえば聞こえはいいが、この作品、あまりにもパクリが多過ぎる。赤い目のような監視カメラを持つコンピュータが船長の命令に背いたり、脱出用ポッドから爆発を利用して本船に戻ったり、さらには船長が自らの意思を実行しようと立ち上がるシーンでは「ツァラトゥストラはかく語りき」が鳴り響くという念の入れよう。「2001年」の他にも数え切れないほどの近未来・宇宙・ミュージカル映画からの剽窃は見るに堪えなかった。


スピード感あふれるアクションに細部まで描きこまれた質感の映像、そして忙しく立ち働く愛らしいロボットたちに相対するような座ったままでで立とうともしないメタボな人間たち。ウォーリーとイヴが宇宙でダンスするなど美しい場面などもクリエイターの表現力の高さは十分に楽しめる。だからこそもっと各エピソードの設定にオリジナリティを持たせてほしかった。


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