こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ヤッターマン

otello2009-02-21

ヤッターマン


ポイント ★★★
DATE 09/2/18
THEATER SC
監督 三池崇史
ナンバー 41
出演 櫻井翔/福田沙紀/深田恭子/生瀬勝久
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


「やっておしまい!」「説明しよう」「ブタもおだてりゃ木に登る」など、キメ台詞から毎回繰り返されるナレーションまで、原作に忠実に実写化する。そのこだわりはメカや衣装、背景にまで及び、さらに俳優たちもまるで古いビデオから飛び出してきたかのようにキャラクターになりきっている。作りこまれた世界観はほぼ完全に30年前のアニメを現代に再現しており、元ネタを知っている者にとってはつい懐かしさがこみ上げてくるほどの完成度。思わず笑い声をこらえきれなくなるシーンにたびたび遭遇した。


ドクロストーンを捜し求めるドロンジョ、ボヤッキー、トンズラーの3人組は、後一歩のところでヤッターマン1号2号にドクロストーンを奪われる。その後、ドロンジョたちに新たな指令が下され、そこでもヤッターマンたちの邪魔が入る。


相変わらずマンネリの物語には新鮮味はないのだが、映像のディテールへの凝りようには舌を巻く。特に生瀬勝久扮するボヤッキーが秀逸。貧相な顔に似合わず高性能ロボットを生み出し操縦するけれど、どこか間抜けで憎めない。おまけにこの作品ではドロンジョに切ない思いを寄せながら叶わぬ恋に胸を痛めるという悲しい気持ちまで演じる。映画化にあたっては、ドロンジョやヤッターマンの間にも恋愛感情が絡まりあって登場人物が恋心と嫉妬に苦しむという複雑な男女関係まで描く。


いちばんの見所はドロンボー一味の3人が歌いながらコミカルなダンスを見せる場面。振り付けは映画のオリジナルなのだが、ドクロベエというボスにこき使われながらも必死で頑張っている3人が置かれている状況が非常に分りやすく説明されている。いつもヤッターマンに負けているけれど悪党の手先を辞めるに辞められない、そんな雇われ人の悲哀が見事に表現され、アニメを見ていた当時には理解できなかった彼らの魅力を再発見できた。ただ、ボヤッキーの「ポチッとな」はきちんとドロンジョの胸を押して欲しかったが。。。


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