こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ストレンジャーズ/戦慄の訪問者

otello2009-03-06

ストレンジャーズ/戦慄の訪問者 THE STRANGERS

ポイント ★★
DATE 09/2/6
THEATER KT
監督 ブライアン・ベルチノ
ナンバー 31
出演 リブ・タイラー/スコット・スピードマン/ジェマ・ワード/ローラ・マーゴリス
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


突然襲いかかる理不尽な悪意は、奇妙な訪問者から始まり不気味な気配、不審な物音へとエスカレートしていく。郊外の別荘、電話や自動車を破壊されて外部から孤立したヒロインが感じる不安や不快が緊張感あふれる映像からリアルに伝わり、見ている者を底なしの奈落に突き落とす。侵入者の目的は一切分からず、彼らは狩りを楽しむかのように心理的に被害者を追い詰めていく。映画は実際に起きた「理由なき殺人」のターゲッゲトにされたひと組のカップルが体験する恐怖と怒り、そして絶望を描き、被害者の悲劇を再現する。


パーティから抜け出したクリステンとジェームズは別荘に戻ると、そこに若い女が訪ねてくる。女を追い返したあとジェームズは外出、その間にまた女が戻ってくる。今度も門前払いするが、いつの間にか白いマスクの男が屋敷内に侵入している。


ジェームズのプロポーズをクリステンは断ったため、ふたりの間には非常に気まずい空気が流れている。ジェームズはサイテーの気分でクリステンも居心地が悪い。しかし、朝まで一緒にいなければならない。ふたりともただでさえ神経が敏感になっているのに、さらに正体不明の3人組の予期せぬ攻撃にさらされてストレスは最高潮に達しているはず。ハンディカメラの微妙な揺れで心の動きを表現し、おどおどろしい効果音にあまり頼らなかったのは好感が持てる。


犯人と思しき男1人と女2人はマスクに顔を隠し、表情はうかがいしれない。言葉も発しないために思考も感情も読み取れないために余計に心臓を鷲掴みされるような感覚は増幅していく。ジェームズもクリステンも彼らが何者であるかを一切知らされず、殺されていく。3人の男女は素性を最後まで明かさないまま別荘を去り、観客もまた置いてきぼりを食う。その不可解な無念さはまさにジェームズたちが味わった同じもの、スクリーンのこちら側にいる者は後味の悪い思いはしても殺されなかっただけましということなのか。。。


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