こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

おっぱいバレー

otello2009-04-21

おっぱいバレー

ポイント ★★*
DATE 09/4/19
THEATER WMKH
監督 羽住英一郎
ナンバー 92
出演 綾瀬はるか/青木崇高/仲村トオル/石田卓也
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


手のひらで実感したいおっぱいの感触。それを求めて少年たちは風を掴み宙を舞う。彼らの頭は何を見ても何を聞いてもおっぱいを連想してしまう単純な構造。まだネットもAVもなかった時代、エロ本と「11PM」だけがとめどもなく湧き出る性欲の捌け口だった地方都市の中学生が、新任女性教師のおっぱいをナマで見るために生まれてはじめて「頑張る」ことを覚える。動機は不純でも、努力して自分自身を高める喜びを経験する過程で成長していく姿を描きつつ、やっぱり一番の興味はおっぱい。そのおっぱい至上主義的な思考が笑える。


新しい中学に赴任した美香子は男子バレーボール部の顧問になるが、まったくやる気のない部員ばかり。そんな彼らに「大会で1勝したらおっぱいを見せる」という約束をしてしまう。目標ができた部員は急に熱心に練習に取り組み始め、めきめき上達していく。


着任の挨拶で「"道程"が大好き」と何度も口にする美香子を見て、童貞の少年たちは勝手に妄想を膨らませて鼻血まで出してしまう。約束をしてからは、練習中も「おっぱい」と口にして、美香子のおっぱいに期待を膨らませる。しかし、ベタなセリフやリアクションの連続は下品の一歩手前で踏みとどまっているので、てらいも恥じらいもなく「おっぱい」を連呼する姿がかえってほほえましい。


ただ、商店や公衆電話などの街並みや道路を走る自動車、テレビや体操服まで30年前の風景を再現しているのに、時折明らかな時代考証の間違いがあってしらけた。「拝見させていただきました」などという言い方や、デジタルのストップウォッチ、ホテルの部屋のプッシュホンなど当時存在しなかったアイテムが散見するのは、この作品の持つ脱力感を強調したかったからなのだろうか。結局、おっぱいの約束が学校にバレて美香子は退職、試合にも勝てず美香子のおっぱいはお預けになる。それでも彼女の胸に飛び込むことができたから後悔していないという部員からの手紙が、根っこのところでスケベ心を失っていない少年たちの健全なバカさ加減を物語っていた。


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