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映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

モンスターVSエイリアン 

otello2009-05-23

モンスターVSエイリアン MONSTERS VS ALIENS

ポイント ★★*
DATE 09/5/19
THEATER FS
監督 ボブ・レターマン/コンラッド・ヴァーノン
ナンバー 118
出演
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


常識はずれの外見やパワー、知能のおかげで世間から隔離されてしまったモンスターたち。彼らは外部との接触を許されず、ひっそりと年をとっていくだけだ。しかし、物語はそんな彼らの悲しみには目もくれず、ただただ侵略してくるエイリアンを撃退して自由を勝ち取るというアクションに焦点を当てる。そのめまぐるしい展開はスピード感にあふれ、息つく間もないほど。さらに異形のモンスターたちがエイリアンとの闘いの中で、友情を深め生きていく自信を取り戻していく過程は、心の持ち方一つで未来は変えられるということを教えてくれる。


結婚式当日に隕石と衝突、巨大化した花嫁のスーザンは政府の秘密基地に拉致・監禁される。そこでさまざまなモンスターと知り合うが、皆基地の外に出られないことに慣れっこになっている。折りしも非友好的なエイリアンが地球に来襲、米国政府はモンスター軍団をエイリアンのロボットと戦わせる。


細密に再現されたサンフランシスコの市街地を、ビルと同じ大きさとなったスーザンが自動車をローラースケート代わりにして走り回り、ゴールデンゲートブリッジを破壊しようとする巨大ロボットと対峙する。CGの粋を集めたようなスリリングな場面は実写風に見せることもできたはずだが、あくまでアニメっぽいテイストを残しリアリティを薄めることでバイオレントさを取り除いている。子供の目を意識したのだろうが、非常にクオリティの高い映像が圧倒的な迫力でスクリーンを覆う。ただ、「未知との遭遇」「スター・トレック」「スター・ウォーズ」などを髣髴させるワンシーンを「お約束」のように挿入するのには辟易した。


復活したエイリアンは、二度目はクローン軍団で攻撃してくるが、モンスターたちのチームワークで退ける。嫌われ者のモンスターたちも、エイリアンという共通の敵がいると人間に必要とされるのだ。このあたり、かつては共産主義、現在はテロ国家という仮想敵からの防衛という名目で危機感をアピールし、軍備を増強してきた米国に対する強烈な皮肉となっている。


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