こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

トランスポーター3 アンリミテッド

otello2009-08-17

トランスポーター3 アンリミテッド Transporter 3

ポイント ★★★*
DATE 09/8/15
THEATER WMKH
監督 オリヴィエ・メガトン
ナンバー 191
出演 ジェイソン・ステイサム/ロバート・ネッパー/エリック・エブアニー
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


ジャケットを相手の指にからめ、タイを手首に巻きつけ、シャツで首を絞める。身につけているものを脱ぎながら武器に変え襲いかかってくるチンピラを次々と倒していく。さらに愛車・アウディで、並走するコンテナトラックのわずかな隙間を車体を斜めに倒した2輪走行ですり抜ける。格闘テクニックとカーアクションは、これぞ映画というような奇抜なアイデアが惜しみなく投入され、それらは見事な融合をみせる。そしてジェイソン・ステイサムの鍛え上げられた背筋・8つに割れた腹筋と、クールな物腰が洗練された味わいを醸し出す。主人公の活躍の場を米国から古い街並みが残る欧州に戻したことも成功している。


国際的犯罪組織に拉致され、車から20メートル以上離れると爆発する腕輪をはめれらたフランクは荷物の輸送を強要される。彼の車には同じ腕輪をはめられたヴァレリンティナという女が同乗、ふたりはマルセイユからブダペストに向かう。


流れるようなスキのない動きで数で勝る敵を倒していくフランクの体術は今回も健在で、特にK-1セーム・シュルトとの一騎打ちは圧巻だ。2メートルをはるかに超える大巨人にパワーで圧倒されるが、罠にはめて逆襲する。銃器に頼らず自らの拳で決着をつけようという姿勢が非常に心地よい。またカーアクションでも銃撃してくる敵に対して運転技術だけで対応して無力化し、トランスポーターとしてのプライドを見せ付けるシーンは小気味よい。


やがて、ルーマニアウクライナと舞台を変えていく中で、ヴァレリンティナの素性が明らかになっていく。その後もダム湖からの脱出、列車での決闘と息つく間もなく見せ場は続く。それらの、CGに頼りすぎることなく、俳優とスタントマンたちの生身の肉体を駆使した「映画屋魂」がこもった映像の数々は上質なエンタテイメントとして堪能できる。最初からクライマックスまでスピードあふれる展開で、衰えない疾走感はアドレナリンを放出しぱなっしだった。欲を言えばヴァレリンティナをソバカスだらけではなく、もっと美しい女優に演じさせてほしかった。


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